Androidにまつわるエトセトラ:002 「NexusOne国内販売の謎に迫る」

2010年01月22日 13:05 by 日本Androidの会 幹事 庵動 ロイド 隆
NexusOneは「スーパーフォン」!

NexusOneは「スーパーフォン」!

NexusOneの登場の意義

2010年に入り正月気分も覚め止まない年始早々、Android界にビッグイベントが走った。なんとAndroidを作ったGoogle自身が自分たちのブランドで端末を発表するというものである。その名も「NexusOne」。Google自身が作成した「Android端末のあるべき姿」を具現化したスマートフォンと言って過言ではない。


思い起こせば2年前、Androidが登場する前夜「GoogleからG-Phoneが登場する」という噂で持ちきりだった。それもそのはず、当時よりiPhoneが販売され「Apple社」の携帯電話が広がり始めており、そのUIの革新性が多くの人の目にとまっていた。そのiPhoneもネットワークサービスはGoogleをポータルで利用されてる事実もあり、GoogleがGoogleサービスを使うための携帯電話「G-Phone」を発表するという話題は真実みを帯びていた。しかし、結果として噂であり、携帯電話のプラットフォーム(アプリケーションから見るとオペレーティングシステム)としてのAndroidが発表された。

一部ではG-Phoneでなかったことに落胆の声も聞こえたが、多くはそのオープンな汎用性と多様なデバイス展開の魅力に肯定的な捉え方をされていた。いや、オープンに魅了されたと言って良い。それから2年を経て、このAndroidを利用した携帯電話は世界中で多数発売されている。しかし、その本丸とも言えるG-Phoneこと「スーパーフォン」が登場したのだから、これを熱狂的に迎えるなと言う方が難しい。ちなみにNexusOneプレス発表会でGoogleはこれをG-Phoneと呼んだことは一度もない。しきりに「スーパーフォン」と呼んでいる。


図1:NexusOne WEBサイト

図1:NexusOne WEBサイト


国内販売の謎

既に海外では販売しているNexusOne。数々のレビューを目にすることができるが、残念ながら国内販売についてはまだまだ「マテ」の状態である。個人輸入など行えば手に入れる方法もあるがいくつか不透明な問題も残っている。

まずNexusOneが日本で販売されるには二つの方法がある。しかし何れもまだ実現出来ていない。なので「マテ」の状態である。


  • GoogleのWebページから購入する
  • 日本のオペレータ(電話会社)から購入する


一つ目は、GoogleのNexusOneのWEBサイトから購入する方法である【図1】。海外に在住ならば、このWebサイトからSIMロックフリーNexusOne端末と、海外のオペレータから発売されているNexusOne端末を購入することができる。


しかし、日本から購入しようとすると【図2】のとおり「Sorry, the Nexus One phone is not available in your country.」と出ており、端末を購入ができないのである。何故だろうか? ここに謎がある。


ここからは筆者の推測の域となることを前提として、この謎を考えてみよう。


NexusOne WEBサイト右上の表示部分

図2:NexusOne WEBサイトの右の表示


国内電話会社への配慮か

一つの可能性として、(2)の今後リリースされるかもしれない日本のオペレータ(電話会社)から発売されるNexusOneにGoogleが配慮して日本国内での、SIMロックフリーの端末を売り控えているかもしれない可能性だ。


SIMロックフリー端末とは、電話番号カードと言われているSIM(3GネットワークではUIMとかUSIMと言う)カードを自由に差し込んで利用できる端末である。例えば、国内A電話会社のSIMを用いても、国内B電話会社のSIMを用いても、どちらでも通信が可能となる端末ということだ。


従来は「端末ロック」などと端末を変更したり、電話会社をまたがった利用をできなくする「しくみ = ロック」が入っていることが一般的で、自由にSIMカードを抜き差し出来ない。それは、携帯電話本体を販売するときには、電話会社のSIM(電話回線、つまり基本料金)を使い続けてくれること前提で、携帯電話本体価格が割り引かれている事が多い。それなのに、他社のSIMを使われると電話会社としてとても割引分が損となってしまう事情がある。


国内ではSIMロックフリーの議論は総務省のモバイルビジネス研究会の報告書で検討されたものの、現在は再検討という方針となっている。


このような背景から、今後NexusOneが国内の電話会社から販売されたときに、SIMロックフリーのNexusOneの存在は電話会社からすると販売に影響するため、好ましくない。


そのため一つ目は、Googleが日本の電話会社に配慮して購入可能にしていないという可能性である。




もう一つの可能性

もう一つの可能性として、「技術適合」の問題の可能性である(*1)。国内で携帯電話を使うには、電波や通信などの技術基準が、国内規定を法的に満たしている必要がある。これを証明するために「技術適合の認証(技適認証)」を行う。海外で作られた端末は、その国での技適認証を取り、その国で端末の通信を(法的に)利用可能となる。日本の国内も同じで、TELEC認証機関を通して、その証明書となるシールを貼付して証明とする。


画3:携帯電話の背面にある、シールの郵便マークが入っている部分が技適認証

画3:携帯電話の背面にある、シールの郵便マークが入っている部分が技適認証

【図3】Googleが発売していたAndroid端末しては「DevPhone1」というT-Mobile G1と殆ど同筐体のモデルがあった。これは国内からも購入ができたが、技適認証は受けていなかった。一方昨年に開催された、Google Developer Dayで参加者全員に配布されたGDDフォン(Google Developer Dayフォン)は、技適認証を受けて国内で配布されている。そのため、NexusOneの動向には大変に注目していた。


NexusOneは本来別国で開発された端末であるため、そのまま国内に持ち込んだのでは、基本的に技適認証のシールは貼付されていない。ところが、NexusOneの発表の翌日である1/6に吉報が飛び込んだ。「技術基準適合証明等の公示」にHTCのPB99100としてNexusOneが無事に技適認証が完了した」というニュースである。


この認証済みの端末が発売となれば、認証シールが貼付されたNexusOneを入手でき人前でも持ち歩く事ができる。


しかし考えてみると端末の国内認証が2010年1月6日(水)に通ったばかりであり、これが工場や手続きを経て市場に出るとしても、流石に本稿執筆している1月中旬は早すぎる。つまりこの「技術適合」の端末が出荷待ちで、OKとなったタイミングで「Sorry, the Nexus One phone is not available in your country.」の文言が変わり、日本国内から購入出来るのではないかと想像している。


そして最良のストーリーは、これと同時に国内のオペレータからも同時発売だ。これによりAndroid端末の広がりを確実のものとすることができるだろう。


*1 国内で利用する無線装置については、総務大臣の登録を受けた登録証明機関(TELEC等)が一定の基準に基づき検査を行い、電波法などの尊守すべき法令等で定められている技術基準に適合している事を証明する必要がある。技術適合の認定をもらい、その証明ラベルを携帯電話に貼付する事が義務づけられているのだ。
つまり、日本のTELEC等で技適認証を通し、TELEC等のマークが入ったシールが電池パックのウラなどに貼っていなくては本来は日本で利用する必要がある。MRA(電気通信機器の相互承認)という制度もあるが、基本的には認証機関の相互運用であり、日本で利用するには国内の試験項目を通しておき、認証シールの貼付が必要となる。このMRAこには様々な解釈があることも付け加えておく。