「明日のAndroidアプリのヒットメーカーはここにいる!」~第23回 体育会系モバイル部 レポート前篇

2010年01月25日 13:09 by 福田智之
世界60億人を見据えて、オープンなAndroidのマーケットで仕事をすることはとても夢がある。

世界60億人を見据えて、オープンなAndroidのマーケットで仕事をすることはとても夢がある。

「Android」という果実は、いつごろ食べごろになるの?

モバイル業界の交流会として国内最大級を誇る、「第23回 体育会系モバイル部」が1月19日(火)、東京・六本木『alife』の2階から地下1階まで3フロアを貸し切って開催。寒空のなか集まった参加者は700名を超え、世代の近い若手のクリエイターや技術者、モバイル関係者が集い、活発に交流が行われた。


メイン会場の地下1階で乾杯が行われ、2階のイベントスペースでは、モバイル業界を代表するコンテンツプロバイダーの代表者らによるディスカッションが、3時間にわたり3部構成で行われた。今回は内容が豊富だったこともあり、2回に渡ってお伝えしようと思う。


今回お伝えするのは3部構成の最後のステージで、アジアから世界へ「iPhone、そしてAndroid」と題し、柳澤康弘氏(株式会社パンカク代表)、清水亮氏(ユビキタスエンターテインメント代表)、ジョンラーゲリン氏(AdMob株式会社代表取締役社長)の3氏が登壇。


「iPhoneとAndroid、どちらが魅力的でしょうか」という質問に口火を切ったのはラーゲリン氏。「3~5年後、日本の皆さんのポケットには、かなりの数のiPhoneと、それ以上のAndroidベースの端末が入っているのでは? 長期で見ればAndroidが強いと思います」と答えた。清水氏は「ちょっと昔の未来が知りたい人は、iPhoneを使っていればいいんじゃないかと思います。いまNexus Oneを持っていない人はどれほどいるかわかりませんが」と、海外で発売されたばかりで、まだあまり出回ってない最新機種をネタに、会場の爆笑を誘った。


10年後にはノートPCはなくなっていると大胆予測。清水氏のトークライブを一度見てみたい。

10年後にはノートPCはなくなっていると大胆予測。清水氏のトークライブを一度見てみたい。

さらに「いま少しヒマだったので、Android Marketのゲームをダウンロードしていたのですが、恐ろしいことにiPhoneだったら600円ぐらい取るゲームが、こちらでは全部タダ。怖いのは“パケ死”だけです」(清水氏)と、Androidのプッシュは続く。

柳澤氏は冷静に、「商売するならiPhoneのほうがお金にしやすいですが、ユーザー層やgoogleのマーケットに対する考え方を含めると、長期的にはAndroidが端末の台数やマーケットサイズなどで、iPhoneを凌駕するタイミングがあると考えています」と述べた。


アプリの供給過多になると儲からなくなる。その前にチャンスをつかみたいという柳沢氏。

アプリの供給過多になると儲からなくなる。その前にチャンスをつかみたいという柳澤氏。

そのとき、清水氏は観客に「皆さん!OPhone、持っていますよね!!」と呼びかけた。“Androidファン向けトークライブ”のような清水氏のノリに、会場は大爆笑。

しかしここで冷静なコメントに切り替わる。「OPhoneを使ってみると、かなりしょぼいです。ダウンロードが遅いし、Simejiも使えない。日本語フォントはかなりイライラする。iPhoneに至っては違法ダウンロードできたりするので、Appleにクレーム入れていますが、いずれにしても今後ダウンロードでお金を取ってゆくのは難しくなる恐れがある」(清水氏)と、明るい後で落差のある暗い話になり、空気は一転する。


OPhoneを持つのは、ネタとして楽しいけれど仕事としては大変かも。でもそれがイイ?

OPhoneを持つのは、ネタとして楽しいけれど仕事としては大変かも。でもそれがイイ?

柳澤氏は続けて「OPhoneの市場は魅力的ですけど、制約があってなかなかマーケットに入りづらい。中国以外のインド、ロシア、欧州を広く目指すのもいいかも」と続けた。


「儲けるにはwebかアプリか、どちらのスタイルがお勧め?」と、司会が話題を切り替えると、ラーゲリン氏は「iPhoneのサファリブラウザを初めて見たとき、これはPCサイトそのままだし、ダブルタップのズーム機能が素敵だと評価しました。キャンペーン広告ならばiPhoneユーザにもウケは良いでしょう。またアプリは継続性を求めるヘビーユーザに向いていると思います」と答えた。

それを受け、柳澤氏は「webがお金にならないのは何億というページ数があるため。ユーザーが存在に気づけないことが問題だ。そこに確かな数を引っ張ってこれたら、広告として機能してお金になる」とし、改良次第でお金になる見解を述べた。さらに「Androidアプリの登録も審査がないので、将来的にとんでもない数のアプリケーションが出来てしまう。それではユーザは発見できないし、プロモーションが難しくなる。儲かるか、儲からないか、2極化が激しくなるはず。だから今から先行投資として割り切ってやってゆく」と述べ、シビアな話の展開が続く。


そこで司会は「ではAndroidは儲からないのか? いい宣伝手法はないか?」と尋ねた。ラーゲリン氏は「クチコミ…というのもありますが、いま大手の企業さんがTVやPC向けに出していた広告をモバイルにシフトする流れがあり、企業広告をアプリで行う流れがある」と述べた。


個人のクリエイターも大事にします。一緒に新時代の広告を作りたいというラーゲリン氏。

個人のクリエイターも大事にします。一緒に新時代の広告を作りたいというラーゲリン氏。

「ユビキタスエンターテインメントの『i書道』というアプリは、書き味が素晴らしいと評価され、万年筆のモンブラン社から特製のアプリ作成依頼が来たことを、司会者が思い出し紹介した。清水氏は「アプリの依頼案件といっても、大したもうけではない。むしろ一発芸的なアプリで話題になって、それを宣伝効果として売上につなげるほうが近道」と話す。


また柳澤氏は「AppStoreのランキングに入りさえすれば、あとは実力勝負だと思う。最初はブロガーに紹介してもらうため、マーケティングの手法でブロガーに刺さるものを考えて当てていく」と言い、特筆すべき宣伝手法はないことを明らかにした。


そして、最後に司会者が「ひとことずつお願いします」と伝えると、3人のパネラーは皆、数年後を見据えるような目になった。


日本のモバイル広告は、全世界のなかで最大規模になっていますが、クライアントの種類を見渡すと偏りがある。ほかの媒体から、いろいろなジャンルの広告が流れてくるようになると健全化して、もっと効果的な広がりを見せるようになる。新しい市場を一緒に作ってゆきたい」(ラーゲリン氏)


「今日の私はネガティブな発言が多かったですが、去年の今頃のiPhoneの流れはポジティブ過ぎたと思います。逆に落ち着いたことで、これでスマートフォンの流れに安心してチャレンジできると思います。みんなスマートになる。私はメタボってますが。僕は10年後、デジタルグッズや文房具的な用事は、このサイズの端末ひとつで済んじゃうような世の中になっていると思います。そのころ僕らはライフスタイルを継続して変えるようなものを作ってゆきたい」(清水氏)


「エキサイティングな市場が広がっていると思いますが、現状ですぐ儲かるような話ではないと思います。ただ日本の1億人だけを見るのではなく、世界60億人を見てゆくべきだし、そのなかでオープンなAndroidなどのマーケットは魅力的だと思います。そう遠くないうちに世界中のほぼ全ての人がスマートフォンを持つ時代が来るでしょう。そんなときアプリケーションだけでなくスマートフォンと様々な外部機器との連携も含めてプラットフォームとなるようなものを作りたいと考えています。」(柳澤氏)


Androidの実の争奪戦が始まってから、取りに行っても遅い?

700人も集まった最強のモバイル系交流会。経営者、若手技術者、クリエイターが押しかける。

700人も集まった最強のモバイル系交流会。経営者、若手技術者、クリエイターが押しかける。

かなり白熱した3時間でした。終了時刻は予定を大幅に過ぎ、六本木からの帰宅に困った参加者がいたかもしれません。しかしこのイベントで得た収穫は、誰にとっても大きかったはずです。


現時点でAndroidという果実は青くて、あまり食べられないかもしれませんが、近いうちたくさん実が成って、熟して食べごろの時期がやってきます。そのときに人より1個でも多くおいしい実を手にしているには、どうしたらよいか…ということを考えさせてくれる内容でした。