「明日のAndroidアプリのヒットメーカーはここにいる!」~第23回 体育会系モバイル部 レポート後篇~

2010年01月27日 10:14 by 福田智之
ソーシャルアプリの流行を終わらせないために、新しいクリエイターを募集中。

ソーシャルアプリの流行を終わらせないために、新しいクリエイターを募集中。

ソーシャルアプリの大流行は本物か、バブルか?

モバイル業界の国内最大級交流会「第23回 体育会系モバイル部」レポートの後篇は三部構成の1部と2部をお伝えしよう。先にお伝えするのは、今回最も登壇者の多かった第2部。満員の計3フロアで、唯一お話禁止の会場は、観客が階段まで溢れ出る盛り上がりだった。

第2部登壇は、黒船来襲「ソーシャルの波」と題し、注目のソーシャルアプリの代表の4氏。真田哲弥氏(KLab株式会社代表)、小野裕史氏(Rekoo Japan代表)、長谷川敬起氏(株式会社ドリコム執行役員)、赤羽雄二氏(ブレークスルーパートナーズ株式会社マネージングディレクター)の方々だった。

絶好調が続くソーシャルアプリ。「今後どうなるのか、勢いは続くのか」が一番聞きたい内容だったが、質問がきわどいため回答者は警戒気味で、最初は各氏とも他の人の出方を伺っていた。


質問:「mixiとモバゲー、どっちが魅力的ですか?」

回答:「それぞれ魅力的なところがある」「僕の口からは言えません」

質問:「ゲーム以外で儲かるアプリってあるんですか?」

回答:「eコマースなどが伸びる見込みはあるが、やっぱり今はゲームが儲かります」


などと、4氏とも淡々とした回答が続く。しかし「今のソーシャルブームは、本物ですかバブルですか?」という直球の質問には、長谷川氏が「本物だと思ってなかったら、こんなにFacebookに突っ込んでないですよ!」と、笑いながら回答。さらに「今はゲームが儲かるけど、今後ネットでやるビジネスはソーシャルアプリが持って行くと思います」と続けた。


長谷川氏

crowdstar社などから得た知見を元に、ヒットするソーシャルゲームを提供したいという長谷川氏。


それを受け、赤羽氏は「ある部分はバブルだと思っています。ARPU(1契約当たりの売上額)も下がりますし、競合他社も増えるだろうけれど、国内でもユーザは増えるし、世界の広がりに乗れることからARPU減少を補うことは可能。簡単ではないが、これほどの機会はなかなかない」と、まだまだ拡大するソーシャルアプリの今後を見通した


今から社長を説得してSNSに参入予定の会社は、もう遅いからやめろと忠告する赤羽氏。

今から社長を説得してSNSに参入予定の会社は、もう遅いからやめろと忠告する赤羽氏。


一方、真田氏は「プラットフォーマーの施策次第。“ファミコン”“iモード”のような人気のプラットフォームは10年以上続いているが、“ATARI”ショックのように数年で突然終わることもあり得る。Facebookは引き締めにかかっているが、日本国内のSNSなどプラットフォームには甘さが見えるので、バブルにしないよう引き締めが必要。具体的にはクソゲーに気を付けたい」と、場合によっては急速な縮小もあり得る見方を提示し、用心が必要と釘を刺した。


「ぶっちゃけ、インスパイアされたアプリは何ですか?」の質問には、『サンシャイン牧場』で有名なRekoo社の小野氏が回答。「農場系のソーシャルゲームを最初に作ったのは中国の2社で、弊社と、上海にあるファイブミニッツという会社です。そこのCOOに聞いたのですが、彼らが農場ゲームを始めたキッカケは、『ハーベストムーン』というスーパーファミコンのゲーム。実は日本国内にネタはまだ転がっているんじゃないか、と思います」と、足元に宝の山が眠っている可能性を明らかにした。


「虫を入れたと知らせて下さいませんか?」小野さんの会社は、サンシャイン語で有名。

「虫を入れたと知らせて下さいませんか?」小野さんの会社は、サンシャイン語で有名。


「mixi、モバゲーなどプラットフォームに言いたいこと」という質問にも、小野氏が引き続き回答。「プラットフォームはオープンな方が競争できるので、ユーザにとっても良いものだけが残る環境というのは理想。オープンであり続けることが重要と思う」と語り、AndroidのようにオープンなOSは、ユーザのための競争が進む優れた環境であると述べた。


「これから参入する人にひとこと」というお題で、話題に火をつけたのは真田氏。


「ファミコン、iモードの初期のコンテンツはそうでしたが、作りこみの甘いものからスタートしています。しかししょぼいレベルで後から参入しても、出来上がった頃にマーケットは生育しているので、『アキレスと亀』のような追いかけ状態に陥ってしまい、抜くことはできません。しょぼいレベルでも売れているのは、今だけと思ってください。だから個人でしっかりアプリを作ろうと思うなら、1人で頑張ることをあきらめ、当社は人手が足らないので、開発費を×××ぐらい渡しますから、当社に良いアプリを作りに来て欲しい!!」


大きくわかりやすい声で、面白トーク連発の真田氏。太っ腹な会社は元気いっぱいだ。

大きくわかりやすい声で、面白トーク連発の真田氏。太っ腹な会社は元気いっぱいだ。


突然の太っ腹な超高額資金提供発言&KLabリクルート作戦に、会場は一気にヒートアップ。「僕の代わりのCEOを募集。将来何十億になるかもしれないストックオプションを…」(小野氏)、「エンジニアとプロデューサーとデザイナーと…みんな募集しています!!」(長谷川氏)などバブル気分のスカウトのようになり、観客と一緒に盛り上がりを見せた。


落ち着いた頃、最後に締めたのは小野氏の、こんなひとことだった。

「中国勢の企業が日本のインターネットビジネスで、これほどまで伸びていることは、かつてなかったと思います。Rekooでも、コスト10万円以下の人々が、毎日1,000万人以上世界で遊んでいるゲームを作っています。逆に日本でも出来たはずです。mixi、DeNA、GREEもありますけど、世界に持って出るチャンスもあることを忘れずに…。そこを目指してモノを作って欲しいと思います」と、“モノ造り大国日本”と呼ばれた職人魂を忘れず、クリエイターは頑張ってとエールを送っていた。


中国で成功する日系企業のさきがけになりたい


「アジアモバイル元年」として、特に中国市場をチャンスと見て進出した企業の代表、三浦浩之氏(株式会社fonfun代表)と、田中祐介氏(株式会社フラクタリスト取締役)は、中国の物価(賃金)の安さ、アイデアを出せる人の多さ、民衆のたくましさを改めて強調したあと、「それでも日本で制作されたものは質が高く、海外に出て勝負すべき」と、意見を観客らにも投げかけていた。


その上で田中氏は「日本で成功しているビジネスモデルを、安易に中国で展開しようとするのはどうだろう?」と疑問を呈した。また「日本国内に拠点を増やす感覚で中国に支社を置くのではなく、新たに中国本社を作って日本の本社と提携する…ぐらいのアプローチ論が求められる」と、両国の関係性に着目した組織作りにも触れた。


中国は隣国であっても、生活習慣や文化に大きく違いがあるので、安易に進出するのは禁物だ。

中国は隣国であっても、生活習慣や文化に大きく違いがあるので、安易に進出するのは禁物だ。


「売れるものは何ですか」という質問に、三浦氏は「中国のユーザにはアプリコンテンツが人気です。日本ではwapというか、ブラウザコンテンツが多いと思いますが。向こうは様々なアイデアを具現化した音楽、チャットのアプリなど多彩で、ホントによく出来ているのですよ」と、ゲームばかり売れる日本のマーケットと違うことを強調、さらに「ほかに注目しているのはEC(電子商取引)ですね。我々も調査中ですが、ぜひ中国でやっていきたいと思います」と続けた。


「ゴールはどこにありますか?」という質問では、田中氏は「世界で“これはやったね!”と思えるサービスに、自分が関われるだけで十分と思う。そのフィールドとして中国と日本という組み合わせは大事。具体的には、中国のモバイル広告ナンバーワンになるという目標を、すごく明確なものとして意識しています」と述べ、三浦氏は「日系企業が中国に進出し撤退するのを何度も見て、忸怩たる思いがある。そういう意味では日系企業が中国で成功したという事例を作りたい」と語った。


日系企業の中国進出→撤退という流れを断ち切り、三浦氏は成功例を作りたいという。

日系企業の中国進出→撤退という流れを断ち切り、三浦氏は成功例を作りたいという。


最後に田中氏は、「言い残したことがあるので聞いてほしい」として、「China Mobileには世界最大になるかもしれない“OPhone(オーフォン)”という、Androidベースのスマートフォン市場がある。日本でスマートフォンが伸びるのであれば、きっといいコンテンツができるはずで、中国の彼らに「日本から良いアプリを持って来い」ってハッパかけられている。我こそはいいAndroidアプリを提供できるという方がいれば、ぜひ連絡をください」と声を大にして訴えていた。


田中氏は、中国の“O-Phone”というAndroidベースのスマートフォンが気になる。

田中氏は、中国の“O-Phone”というAndroidベースのスマートフォンが気になる。


Androidの話がこれほど盛り上がるとは!


体育会系モバイル部への参加は今回が初めてだった。前篇でお伝えした題目が『アジアから世界へ「iPhone、そしてAndroid」』とアンドロイドに関する内容と知り取材を申し込んだのだが、体としてもこれほどAndroidの話が出てくるとは正直、参加するまでは想像できなかった。皆が「(長期的には)アンドロイドを視野に入れてるのは当然です」ということを前提にしている様な錯覚までさせられてしまう程だ。


2010年は数多くのAndroid端末がリリースされる最初の年だから当然なのかもしれないが、モバイル端末だけではなく、家電なども含めた様々なものにAndroidが入るようになったとき、私たちの生活がどうなるか、想像しただけで楽しみだ。


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