アプリ市場の活性化につながるアップル・iPadの登場

2010年01月29日 18:28 by 石川温
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1月27日、アップルがついに新製品「iPad」を発表した。9.7インチのLEDバックライトのタッチパネルを採用。当初、予想されていたMac OSではなくiPhone OSを搭載したモデルとなった。薄さは1.3cm、重さは680gとなっている。


アメリカではAmazon「kindle」が普及しつつあり、電子書籍ビューワーがちょっとしたブームとなっている。しかし、iPadも電子書籍市場を狙ったものかと思いきや、メールやインターネット、さらにはAppStoreによるアプリ配信、また、iWorkといったPCに近いアプリケーションが使えるなど、幅広い層をターゲットにした製品に仕上がっている。



9.7インチと大画面のタッチパネル

9.7インチと大画面のタッチパネル

日本ではWi-Fi版が3月下旬、3Gに対応したモデルは6月以降に発売になると言われている。日本での価格、また3Gネットワークを提供するキャリアは未定。


3G対応で聞き捨てならなかったのが「GSM microSIM」という、世界に標準仕様として普及しているUSIMカードを採用しなかったという点だ。実際、現行のSIMカードよりも小さくなっており、iPhoneなどで使われているSIMカードを挿入することはできなくなっているという。
GSM microSIMは端末の小型化を想定した規格」(国内メーカー関係者)という。実際にはアップル以外にもアメリカT-Mobileでも採用の動きがあるようだ。


先日、アメリカではグーグルが「Nexus One」を発売したが、こちらはSIMフリー版が投入されている。今回の「iPad」もすべてSIMフリー版での販売となっているが、そもそもSIMカードのかたちが違っていてはSIMフリーの恩恵はあまり受けられない。果たして、iPadを採用する日本のキャリアが、わざわざGSM microSIMを作るのかが気になるところだ。



リビングやキッチンで手軽に使えるインターネットデバイス

リビングやキッチンで手軽に使えるインターネットデバイス

今回、アップルがわざわざ「iPad」というデバイスを開発したのには様々な理由がありそうだ。大手出版社および独立系出版社と提携し、新サービスとして「iBookstore」をスタートさせ、書籍を閲覧、購入、読書しやすくしているのは間違いなく「kindle対抗」に違いない。


また、一方でリビングで手軽に使えるインターネットデバイスという需要を掘り起こしていそうな気がしてならない。実際、ソニーも今年のCESで「dash」と呼ばれるインターネットデバイスを投入している。リビングやキッチンなどでちょっとした検索をしたいが、パソコンを起動するのは面倒という需要がアメリカにはあるのだろう(日本であれば、それは携帯電話の役目になる)。


高機能アプリへの可能性

高機能アプリへの可能性

もうひとつ、重要なのがアプリの販売価格だ。これまでAppStoreでは14万本にも及ぶアプリケーションが提供されている。しかし、大半は無料のものが多く、価格競争の影響もあって有料アプリも115円程度のものがほとんどだ。

アプリ関係者のなかには「価格が安いためにビジネスとしてペイしづらい。個人なら趣味の範囲で何とかなるが、企業が参入するには慎重にならざるを得ない」という大手ゲーム会社幹部もいるくらいだ。企業などはAppStoreにそっぽを向き始めているところもあるようだ。


今回、iPadはiPhoneに比べ画面サイズが大型化され、さらにアップルが開発したという次世代チップ「A4」により高速かつグラフィック性能が高く、また低消費電力を実現している。アップルがiPad用に「iWork」を提供するのも、チップの高性能化によるところが大きい。
アップルはこれらのアプリを9.99ドル(Pages、Keynote、Numbersのそれぞれで必要)で売ろうとしており、今後、パソコンで処理するようなアプリケーションをiPad用に継続的に販売していく可能性は充分にあるだろう。


アップルの狙いはズバリここにありそうだ。つまり、大画面、高速処理を実現することで、アプリのスペックや機能もアップすることができる。結果、アプリの配信の価格も、いまの115円というのではなく、日本円で言えば1000円に近い値段に引き上げることが可能になる、というわけだ。


アプリで儲かるとなれば、実力のある開発会社が再び熱心にアプリを供給するようになる。高機能アプリが揃えば、またiPadの魅力が向上していく。


iPadの投入はまさにアプリ市場の活性化が狙いであると言えそうだ。


Android市場においては、iPhone以上に無料アプリが大量にあるため、なかなかビジネスには結びつきにくい。現状のスマートフォン市場だけでなく、iPadのような大型デバイスのAndroid市場が早急に立ち上がることに期待したい。