Androidにまつわるエトセトラ:003 「Androidは悪くない」

2010年02月03日 16:36 by 日本Androidの会 幹事 庵動 ロイド 隆
「HT-03A」と「iPhone 3G」

「HT-03A」と「iPhone 3G」

「Androidのせいじゃない、Androidは悪くない」


ついついそう口走ってしまうのは、Android党に入ってしまっているからだろうか。やはりAndroidの世界が広がるためには、より多くの端末が発売され、より多くのアプリケーションが、もっと多くの人から魅力ある形で広がる必要があると思う。しかし、その広がりを削いでしまうような、誤解がなんと多いことか。
「Androidのトラックボールは使いにくい」とか「Androidのフォントは汚い」などと言われるケースがある。しかし「それはAndroidが原因ではないんです!」と声を大にして叫びたい。



AndroidとiPhoneと


AndroidとiPhoneが比較されることが多い。しかし待って欲しい、この比較は実は根本的に間違いがあるのだ。
まずiPhoneとは、Apple社が発売している製品の名前だ。正しくはiPhone 3G、またはiPhone 3GSである。一方Androidは、Googleが開発したプラットフォームの名前である。つまりOS名であり、製品の名称ではない。Androidが搭載された端末をAndroid端末と呼び、製品としてはHTC社の「HT-03A」や、Google社の「Nexus One」、SonyEricsson社の「Xperia X10」などである。つまり、iPhoneと比較すべき対象は「HT-03A」や「Nexus One」などの「Android搭載端末」であり、Androidではない【図1】。


【図1】AndroidとiPhone比較の間違い

【図1】AndroidとiPhone比較の間違い


Androidと敢えて比較するのであれば、iPhoneが利用しているOSである「iPhone OS」であろう。しかしiPhoneは基本的に3G/3GSともにコンパチビリティがあり、OSと製品が同一と言える。そのため、利用者からするとiPhone OSは意識することがない。なぜならば、iPhone OSを用いて他の製品が作られることがないため、気にする必要がないからだ。
以上より、「iPhone」と「Android」の比較は、そもそも違っている。



AndroidのOS部分と製品部分


「Androidって、iPhoneに比べて○×ができないんだよね?」と言われることがあるが、それは「Androidができないワケでなくて、Androidを搭載した”端末”がやっていないだけ」が正解であることが多々ある。
Google Androidという言葉を使うとき、狭義では「Googleの作成したAndroidソフトウェア」であり、厳密にはこれが正しい。しかし広義で「Androidを採用した端末群」として「Android端末」と用いられることもある。この二つを区別することが、誤解を回避するために肝要である。


【図2】携帯電話の内部構成

【図2】携帯電話の内部構成


携帯電話内部の構成【図2】を見てもらうと分かるとおり、Androidが提供されている範囲はソフトウェアとしての一部分だけである。ハードウェアはメーカで作られており、ソフトウェアも一部はメーカにより手が入り作成しているのである。つまり、純粋なAndroidのソフトウェア(狭義のAndroid)の責任範囲は小さく、それ以外の部分はメーカに依存しているのである。



画面ロック解除はAndroidか?


【図3】HT-03Aのロック画面

【図3】HT-03Aのロック画面

例えば、狭義のAndroid(Android SDK)では、端末の起動後や、待ち受け画面がタイムアウトして暗くなった後、再び利用を始める際に出てくる「ロック画面」は存在していない。これを端末の機能として実装しているのはメーカである。
iPhone3Gでは、タッチパネル画面の下を左から右に指でなぞるとロック解除される。HT-03Aはそれができないパターン入力【図3】であり、一部のiPhoneユーザからは不評だった(私は秀逸であると思っているが)。
その際に「HT-03Aが使いにくい」と言われるのであれば許容するしかないが、多くの場合「Androidは使いにくい」と言われてしまう。「違う! Androidのせいじゃない、Androidは悪くない」と、冒頭の言葉を口走りたくなる瞬間である。


【図4】Nexus Oneのロック画面

【図4】Nexus Oneのロック画面

今でこそ「Nexus One【図4】」や「HTC Magic」ではiPhoneに近い入力方法を搭載している。私からすれば「ほら、Androidでもやればできるでしょ?」と言いたくなってしまう。


このように、AndroidのOSでできないことよりも、メーカ側の実装でできることの方が多くあるのがAndroidである。また、インテントを用いて、広くダウンロードアプリで足りない機能を補うことができるのもAndroidの魅力である。



端末の差別化とiPhoneキラー


Androidの標準ソフトウェアを中心にして、様々な進化がなされるだろう。今後はフォントも高品質なものが搭載される可能性もある。また使い勝手向上のため、QWERTYキーボードが搭載されたり、CESで発表されたMotrolaのバックフリップ形状の端末など、新しい形状への進化も行われるだろう。そして、新たなるセンサーの追加や、それらのデバイスドライバーによる性能向上も可能である。このように、Androidはモバイルの世界のプラットフォームでありながら、多様性を柔軟に持つ部分が、大きな特徴(iPhone OSとの差)である。実はこの部分が、Androidを搭載した製品一つ一つの差別化要素となる。


一方、それが故にAndroidは分断されたプラットフォームとなり、一貫性/統一感が無くなってしまっている。Androidとしてのブランドや、世界観の訴求力はどうしてもiPhoneに比べると弱い。
このブランドや世界観を達成するのはAndroidではなく、Androidを搭載した「製品」で実現する必要がある。その点、MotrolaのDROIDや、Google Nexus Oneがこの部分を実現しつつあると言える。将来、物として、そしてブランドとして、よりiPhoneキラーとなるAndroid搭載端末が登場することを大きく期待している。