日本式スマートフォン「HYBRID W-ZERO3」に学ぶべきところ

2010年02月04日 13:05 by 石川温
HYBRID W-ZERO3

HYBRID W-ZERO3

1月28日、世間がアップル・iPadに夢中になっている中、ひっそりと発売が開始されたのがウィルコム「HYBRID W-ZERO3」だ。WindowsMobile6.5を搭載したスマートフォンで、今回はPHSだけでなく、NTTドコモのHSDPA回線が使え、高速通信を実現した点が大きな特長だ。


2005年に発売された初代W-ZERO3は、予約時にサーバーがパンクし、発売日には大行列ができたほどの人気機種だった。当時、PDAなどのモバイルデバイスが好きなユーザーたちが我先にと購入に走ったものだ。
あれから5年、アップルからiPhoneが登場し、グーグルがAndroidプラットフォームを投入したことで、WindowsMobile、強いてはW-ZERO3の存在感もやや薄れてきてしまったように思う。


しかし、今回発売されたHYBRID W-ZERO3は、日本におけるスマートフォンのあり方を示してくれる貴重な一台だと思う。


開発を担当したのはウィルコムのデータ通信企画室 須永康弘氏。初代W-ZERO3から開発を手がける、日本における「スマートフォンの父」といってもいいくらいの人だ。
彼によれば「iPhoneの登場によって、ネットのモバイルコンテンツは縦長がデフォルトになった」と言う。確かにiPhoneも、数多く登場するAndroid端末も縦型が基本になっている。HYBRID W-ZERO3は従来モデルとは異なり、縦で使うことが前提となっている。



日本人になじみやすいテンキーを採用

日本人になじみやすいテンキーを採用

HYBRID W-ZERO3では、今回からQWERTYを廃してテンキーを採用している。ネットからは賛否両論あるが、「これまでのスマートフォンユーザーから市場を拡大するには日本人になじみやすいテンキーである必要があると感じている」(須永氏)という。

実際、メールなどで文字を打ち込む際には、いままでのケータイと同じように打ち込めるので、かなり楽な印象だ。


須永氏はほかにも、マイクロソフトのLIVEメールをケータイメールのように手軽に使えるように努力するなど、徹底的にケータイユーザーを意識した開発を行ってきた。

iPhoneを始め、タッチパネル全盛のスマートフォン市場であるが、長年、日本市場でスマートフォンを手がけてきた須永氏のひとつの答えが「HYBRID W-ZERO3」なのだ。


スマートフォンは自分の好きなようにカスタマイズできるのが魅力の一つではあるが、一方で誰もが簡単に使いこなせるという視点がまだまだぬけ落ちているように思う。

いま、iPhoneが売れているが、実はそれとともに初心者向けガイドブックも増刷を重ねるなど人気になっている。あの直感的に誰でも簡単に使えると言われているiPhoneですら、初心者にはガイドブックが必要とされているのだ。


今年、続々とAndroidケータイが登場することは間違いない。Nexus Oneのように海外からも上陸するものも増えてくるだろう。しかし、そのほとんどが一部のファンが飛びつくだけに終わる可能性もある。日本のユーザーが、安心して迷うことなく使えるかたち、あるいはユーザーインターフェースが不可欠と言える。


HYBRID W-ZERO3は経営再建中のウィルコムが手がけるだけあって、必ずしも大ヒットになるとは言いにくい。しかし、あのプロダクトのかたちは将来の日本のスマートフォン市場を予見する上で学ぶところが多いように感じている。