“Gadget1”で見つけた、Android向けお遊びテクノロジー:前篇

2010年02月10日 15:14 by 福田智之
最初の登壇者の塚田さんと、司会進行の法林浩之さん(日本UNIXユーザー会幹事)。

最初の登壇者の塚田さんと、司会進行の法林浩之さん(日本UNIXユーザ会幹事)。

2月6日(土)、東京のオラクル青山センターにおいて、ハードウェア/OS/ミドルウェアエンジニア、アプリケーション開発者やWEBデザイナー、一般ユーザの交流を目的に、「Gadget1(ガジェットワン)」というイベントが開催されました。会の後援は、日本UNIXユーザ会および日本Androidの会日本オラクル株式会社から会場が提供され、8時間の開催時間中に約200人の来場者があり、大変盛り上がりました。


午前10時から午後6時まで、延べ18組が登壇するという盛りだくさんのスケジュール。今回のレポートは、とても1本では収まらないので、まずは「新サービス・会社の新製品」をテーマに登場した前半5組からお届けします。


一流ホテルのロビーと見間違えるような素晴らしいエントランス。一面の大きなガラスの向こうに秩父宮ラグビー場と神宮球場。オラクル青山センターのフロアからは東京湾方面の美しい風景が一望できるという素晴らしい環境の中、「Gadget1」は司会進行の法林浩之氏(日本UNIXユーザ会幹事)の挨拶と諸注意ではじまりました。



“プレミア感”のある告知や、サプライズ演出に「FeelSketch」


ARを「お金になる技術にしたい」という塚田氏。この発表の他に「Julius」という音声認識サーバーを使った検索で、地図を表示するシステムの紹介があった。

ARを「お金になる技術にしたい」という塚田氏。この発表の他に「Julius」という音声認識サーバーを使った検索で、地図を表示するシステムの紹介があった。

最初の登壇者は、名古屋から来場したソフトウェアエンジニアの塚田翔也氏。AR(Augmented Reality=拡張現実)技術の応用で、事前にお絵かきツールで描いて登録しておいたイラストを、Androidなどのカメラで見た現場に重ね合わせて表示する「FeelSketch」を発表しました。


AR技術とは、カメラを通してみた現実の風景に電子情報を合成提示する技術のことで、iPhoneアプリ「セカイカメラ」が有名です。外出した先でのナビゲーションや、過去や異世界など、現実にはないものをそこに存在するかのように投影し楽しむなどの利用法が考えられています。


某有名ヒーローの頭部分を、「FeelSketch」で事前に登録。紙に描かれた胴体部分をカメラで見ながら、頭を合体してみるテスト。

某有名ヒーローの頭部分を、「FeelSketch」で事前に登録。紙に描かれた胴体部分をカメラで見ながら、頭を合体してみるテスト。

ARを始めるには3Dモデリングなどの技術が必要です。そのため、例えば商店の告知に利用しようと思っても、普通の人ではコンテンツを作ることも難しいのが現実。
しかし、「FeelSketch」を使えば、お手軽に絵や文字を書いたものを、Androidなどの端末で読み込ませ、作成した「PMCode」を使うだけで発信することが可能です。
塚田氏は「必要なのは画力だけ」と言いますが、細かい描画を求めないので、誰でも「FeelSketch」を使い、気軽にARを楽しむことができます。


ビジネス展開や新たな活用法を模索中ですが、読み取った人に向けて「プレミア感」のあるサービスが得意なので、その場に来た人に割引クーポンを出したり、サプライズ演出などができそう、と塚田氏。興味のある方は、オープンソースとしてGoogle Codeで公開されているので、ご覧になってください。



世界中の食事のログを集めて、見知らぬ食事を体感したい


世界で楽しまれるソーシャルアプリを作ることを考えたとき、「みんな何を食べているか」を気にしたことがヒントになったという橋本氏。

世界で楽しまれるソーシャルアプリを作ることを考えたとき、「みんな何を食べているか」を気にしたことがヒントになったという橋本氏。

続いて、「食を使ったコミュニケーション」として、株式会社コニット代表取締役の橋本謙太郎氏が登壇。当社で開発したソーシャルアプリ「EAT NOW」の紹介がありました。


まず、ヒットしているソーシャルアプリには世界で何千万人とユーザがいて、どのように流行しているかを紹介。一度ダウンロードして終わりではなく、「友達と遊び、競い、贈りあう」コミュニケーション型のSNSアプリは課金がかけやすく、大きなビジネスとして伸びている現状を語りました。その魅力的な市場への進出を考えたときに思いついたテーマが「食」だったと橋本氏。


EAT NOW」のアプリを立ち上げ、Android機のカメラで毎回の食卓を撮影し「おいしかった」などと書き加えて投稿します。モバイル端末でGPSと連動しているときは、一緒にその場所を記録することも可能。自動でTwitterに反映することもできます。他の人の投稿に返信を付けたりしても楽しめる上、自分の食習慣についても発見することがある、とのこと。


iPhone/Androidを使えば、GPS情報を含めて「いつ、どこで、何の食べ物を」3つの情報を一気に投稿できる。

iPhone/Androidを使えば、GPS情報を含めて「いつ、どこで、何の食べ物を」3つの情報を一気に投稿できる。

「鶏肉ばかり食べている」「魚介類が少ないかも」という栄養管理的なものや、時間・場所などの記録をすることで、自分の生活を振り返る目的としての特長も大きい、と橋本氏は言います。単身赴任中のお父さんや、進学で上京する子供の食事を、遠く離れたお母さんがチェックしたり、友達同士でレシピ自慢、食べに行った人気レストランの紹介など、生活場面のさまざまなケースで役立てられることが期待されます。


見知らぬ人や外国の投稿を見ることも面白く、「韓国の食卓に並ぶ食料は赤いものが多いな~」「日本人って意外と寿司を食べていないな~」「アフリカのこんな料理みたことない!」など、テレビの情報番組を見ているような新鮮な驚きがあるそうです。この場でも、台湾の台北市からの投稿で、沢庵のような見知らぬ漬物(?)が表示され、会場から「面白いね」と感心する声がおきました。



「Nexus One」って、どのルートで手に入りますか?


日本Androidの会の理事をはじめ、いくつもの肩書きを持つ安生氏。著書も多く、端末に対する辛口な意見がズバズバと出てくる。

日本Androidの会の理事をはじめ、いくつもの肩書きを持つ安生氏。著書も多く、端末に対する辛口な意見がズバズバと出てくる。

3番目の登壇者は、日本Androidの会理事の安生真氏(Google API Expert(Android))。日本ではまだ発売されていない「Nexus One」と、日本で携帯電話会社から購入できる唯一のAndroid端末「HT-03A」を比較してみることが前半のテーマでした。残念ながら爆発的ヒットを飛ばす売れ行きとはならなかった「HT-03Aに足りなかったもの」の検証を、ジョークを交えながら行いました。


「Nexus One」のOpenGL/ESモードの描画速度は約24.39fps

「Nexus One」のOpenGL/ESモードの描画速度は約24.39fps

【2010/2/12:訂正(末尾もご参照ください)】
まずは、「HT-03Aはスピードが足らない」と言われることに関しての実験。
SpriteMethodTest」という描画評価アプリを利用し計測したところ、先にテストしたHT-03Aでは、基本的な描画モードのCanvasで7.09fps、3D向けの高速、高精細描画ができるOpenGL/ESモードで16.67fpsでした。
続いて「Nexus One」のCanvasでは35.71fpsというかなり高速な数字が! OpenGL/ESモードでは、さらにそれを超える結果が出ると期待されましたが、しかし結果は24.39fps。「プレゼンするには微妙な結果なんですけど」と安生氏は語りました。
この計測方法において、Canvas描画の方がOpenGL/ESを使うより高速になる結果はどういうことかと言うと、「Nexus One」CPUのSnapDragon1GHzがあまりにも速いので、表示以外にも力を分散して使っているが、Canvasモードの場合はパワーを画面に集中するから、より高速になる、とのことでした。


次の比較項目は、バッテリー(リチウムイオン電池)です。HT-03Aは1340mAh、Nexus Oneは1400mAhと、さほど変わらない数字。液晶ディスプレイの大きさ、CPUが倍速近いことを考えれば、Nexus Oneのほうがスゴい。「HT-03Aは電池が足りない」という結論になりました。


最後に参加者との質疑応答では、「Nexus Oneが欲しいのだけれど、どのようなルートで入手をすればよいか」という質問が飛び出しました。安生氏も「当然その質問が出るよね」という雰囲気をもたせつつ、「僕のクチからは何も言えません。並行輸入に挑戦してみるとか、ちょっと長めの旅行に出てみてはいかがですか?」との回答でした。



ベンチャー家電の立ち上げ方を教えます


「Androidはどんな生活家電に入ってきても面白そう」語る岩佐氏。

「Androidはどんな生活家電に入ってきても面白そう」と語る岩佐氏。

4番目の登壇者は、900万画素CMOSセンサーを持つデジタルカメラ「CEREVO CAM」を発売した、株式会社Cerevo代表取締役の岩佐琢磨氏。昨年12月中旬に、丸2年の歳月を費やして完成させた渾身のデジタルカメラを、19,999円で発売にこぎつけました。
前職が有名大手家電メーカーとはいえ、ほぼイチから会社を立ち上げ、資金を集め、製品を作り上げ、販売にいたるストーリーはまさにドラマ並み。ある出版社から本を出しませんかという打診があり、「ベンチャー家電メーカーの立ち上げ方」という内容の書籍の企画が進んでいるといいます。


デジカメで撮影した画像を、無線LANで飛ばしてくれる。もうメモリ不足を心配することはない。

デジカメで撮影した画像を、無線LANで飛ばしてくれる。もうメモリ不足を心配することはない。

この「CEREVO CAM」というカメラは、撮った画像をネットワーク上の画像管理サービス「CEREVO LIFE」に自動転送。事前に設定すればそのままmixiやTwitterにアップできるというスグレものです。無線LANを使い自動転送するため、わざわざデジカメとPCをつなぐ必要がなく、画像を友人に配ったり処理する用件の忘失を防ぎます。


大手メーカーは、実はネットワーク接続を前提とする家電を制作するのが苦手だそうです。
業界タブー的な面や、家電量販店で売りにくいため、二の足を踏むのだとか。ベンチャー家電メーカーCerevoは、そこに狙いをつけて商品化をします。“撮る”製品の次は、“観る”ものを作りたいとか。ネットワーク接続をする次の家電の登場が、今から楽しみです。


岩佐氏は、「Androidが生活家電に入ってきたら面白い」と述べ、「どんな家電製品にでも入れることはできる」と話しました。妄想レベルの話ですが、電子レンジに取り込んで、調理法をダウンロードしたり、というようなことも可能になるかも!?家電製品にAndroidが入ることで、性能アップがどんどん進むのかもしれない…と思いました。



イー・モバイル端末でAndroidが動くってホント?


趣味は車での電波強度測定。会社では技術本部設備基盤部に在籍、イーモバイルの電波品質の向上に努め、電波漬けの日々を送る矢萩氏。

趣味は車での電波強度測定。会社では技術本部設備基盤部に在籍、イーモバイルの電波品質の向上に努め、電波漬けの日々を送る矢萩氏。

前半最後は、イー・モバイル株式会社の矢萩茂樹氏による「3G一体型モバイルWi-Fiルータ、イーモバで遊ぶ」と題し、電波を使ってガジェットの遊び場を広げましょう、という内容の話でした。

イーモバイルは開業当初からデータ通信事業に強く、端末も特化したものが多数発売されています。手に持っている金色に輝く物体は、「Pocket Wi-Fi」(D25HW)。これを使えば、一度に5台までモバイル端末の無線LANのアクセスを引き受けることができます。

公衆のWi-Fiスポットは近年増えてきたものの、まだまだ整備が追いついていません。ところがこの「Pocket Wi-Fi」にイー・モバイルの電波が届きさえすれば、そこから周囲のノートPC、スマートフォン、携帯電話、携帯ゲーム機に向けて無線LANのサービスができるのです。


これらの端末を持って、矢萩氏は東京から関越自動車道、磐越自動車道、常磐自動車道をドライブするといいます。北関東と上越・福島地方をぐるりと三角形で囲み、イー・モバイルの電波強度を自らの車で調査に向かうのです。一部地方を除いて、イー・モバイルの電波は安定して利用することができますが、磐越方面で電波の入らない場所を発見。その場所は同業他社の電波も届いていない山奥なので、問題ないそうです。


操作中を含む左側の2台が「S11HT E-Monster」、右側が「S21HT Touch Diamond」。

操作中を含む左側の2台が「S11HT E-Monster」、右側が「S21HT Touch Diamond」。

矢萩氏はイー・モバイルで発売された端末のうち、「S11HT E-Monster」「S21HT Touch Diamond」のWindows Mobile2機種でAndroidアプリが動くことを確認しました。これはHT-03Aと同じ台湾のHTC製という共通点がありますが、「S22HT Touch Dual」では動作しないところを見ると、この会社だから…という訳ではないようです。
動作したといっても、あくまで矢萩氏が所有する端末で動いただけかもしれません。必ず動作するという保障ではありませんので悪しからず。



いろんな人がいて、後半戦に向けて気分が盛り上げる!


ここまでの発表で、昼休みと休憩を含み5時間が経過しました。前半戦は終了です。
後半は電子工作中心のラインアップで、より「ガジェット感」の強い内容になります。


冒頭に登場し、本日の司会進行をされている法林浩之氏(日本UNIXユーザ会幹事)に、このイベントの楽しみ方を伺いました。

「幅広い種類のガジェットが集まったと思います。今まで知らなかった何かのジャンルに引っかかってもらえればいいと思うし、その意図は達成できると思います。Android自体もオープンソースだから、できるだけいろんなコミュニティとの連携が必要だと思います。このイベントもgadget2、gadget3と続くとよいと思いますが、そのときに横のつながりができて自然と楽しめるような強さが出てくれば、主催側として喜ばしいですね」


会場を見渡すと、デジタルグッズ好きの男性陣ばかりでなく、老若男女さまざまな顔が見受けられました。またこのイベントに集まってきた面々の立場もバラバラで、まさに“オープン”な状態。この集まり具合なら、会場のあちこちで異文化交流のようなことが行われていることでしょう。後半の「電子工作」を中心としたデジタルガジェットの発表が、とても楽しみになってきました。

(続く)


【お詫びと訂正:2010/2/12】
筆者および編集部の理解不足により、安生真様の記事内容に間違いがあったため訂正しお詫び致します。
CanvasとOpenGLの比較だった内容を、HT-03AとNexus Oneの比較と間違えておりました。お詫びして訂正させて頂きます。