「Mobile World Congress 2010」を振り返って~ユーザ層拡大を狙う世界のスマートフォン~

2010年03月05日 11:23 by 石川温
Mobile World Congress 2010

Mobile World Congress 2010

2月18日(木)までスペイン・バルセロナで開催されていた世界最大級の携帯電話関連展示会「Mobile World Congress 2010」。今年のイベントを一言で語るとするならば「Android祭」といったところになるだろうか。


昨年は、HTCブースにひっそりと「HTC Magic」が展示されているだけだった(それも説明員が手に持っているモノを見せてもらうという感じ)。それが、今年は様々なメーカーのブースでAndroidの新製品が複数ラインナップとして展示されていた。


独特な機構が注目を浴びていたBACKFLIP

独特な機構が注目を浴びていたBACKFLIP


特に、ここ最近元気のなかったモトローラは、アメリカ市場向けにはAndroidを搭載した「QUENCH」や「BACKFLIP」といった端末を、そして中国や韓国市場向けにもAndroidをベースにした端末を発売していく。Droidがヒットを飛ばしたことにより、Androidプラットフォームへさらに注力しようとしているようだ(モトローラは端末事業を切り離すという噂もあるが)。


最新版2.1を搭載したファーウェイのAndroid

最新版2.1を搭載したファーウェイのAndroid

もうひとつ、注目だったのは中国・ファーウェイ。こちらも一般的な携帯電話機はほとんど展示しておらず、もっぱらAndroidスマートフォンの展示を行っていた。


バージョンも最新版となる2.1を採用。ユーザインターフェースはAndroidの素の状態に近く、メーカーとしての個性はほとんどない。筐体自体もプラスチック感が満点で、やや安っぽい印象があった。


ファーフェイではほかにもAndroidをベースにしたMID(モバイル インターネット デバイス)も出展。こちらは自宅内に据え置くタイプとして開発しているようで、もしかすると、デジタルフォトフレームの将来像としてもあり得るような商品コンセプトになっていた。


Hewlett-Packard(HP)Dellなども、AndroidをベースにしたMIDやスマートブックを展示するなど、Androidはスマートフォン以外の分野にも確実に進出してきているようだった。



もうひとつ、MWCでのトレンドを語るとするならば、スマートフォンの「多様化」というのがキーワードになってくる。日本でスマートフォンといえば、ネイティブのアプリがインストールでき、インターネットサービスの連携に優れた「高機能ケータイ」という位置づけになると思う。実際、海外でもそうなのだが、すでに新たな潮流も起きつつある


ソニー・エリクソンは、新製品としてXperiaの兄弟モデルとなる「Xperia X10 mini」を発表してきた。Xperiaに比べて本体サイズをぐぐっと小さくしたコンパクトスマートフォンなのだが、ターゲットの一つとして「女性」というのが浮かび上がってくる。Xperiaは4インチという大画面が魅力ではあるが、一方で本体サイズが大きすぎて、手の小さい人が片手で持つにはややつらいという弱点がある。その点、Xperia X10 miniであれば、片手でも容易に扱えるサイズに仕上がっている。


イエローやレッドなど派手な色を揃えてきたXperia X10 mini

イエローやレッドなど派手な色を揃えてきたXperia X10 mini


もうひとつ、Xperia X10 miniに注目すべきはカラー展開だ。通常、スマートフォンと言えば、黒や白といったイメージが強いが、Xperia X10 miniでは黄色や赤といった明るい色をラインナップに持ってきた。日本でも、WILLCOM 03がピンクやライムを本体色に採用していたが、ソニー・エリクソンもこれまでとは違うユーザ層を取り込もうとしているようだ。


高機能スマートフォンだけでは、ユーザ層は限られてくる。すでに高機能に魅力を感じるユーザはiPhoneを使っていることは容易に想像がつく。おそらく、いかにiPhoneとは異なる仕掛けになびくユーザを獲得していくかが、これからのスマートフォン市場のトレンドと言えるだろう。


今後、アップルはiPhoneを小型化、多色化してくることも予想できるだけに、ソニー・エリクソンとしては、それに先駆けて商品を展開してきたのかも知れない。


安価でありながら、コミュニケーションサービスへの対応に優れるHTC Smart

安価でありながら、コミュニケーションサービスへの対応に優れるHTC Smart

高機能とは違う路線にめざとく気がついたのが、クアルコムHTCだ。HTCは、クアルコムのBREWをベースとしたスマートフォン「HTC Smart」を投入してきた。AT&TやO2などがすでに採用を決めている。


「Brew Mobile Platform(BMP)」により、安価に端末が開発できる一方で、メッセージングデバイスとして、メールやSNSなどが手軽に扱えるようになるという。実際、端末のCPUは300MHz程度しかなく、日本のケータイで言えば、auの京セラ端末ぐらいのスペックでしかない。そのため、売価も200~300ドル程度と高機能スマートフォンの半額ぐらいの値付けで販売できるようになるようだ。


アメリカ・AT&Tは、Androidを高機能端末と位置づける一方、HTC Smartをスマートフォン初心者向けの端末として販売していくという。


世界的に見れば、スマートフォン市場はすでに多色化や低価格化でユーザ層を拡大するフェーズに入ったと言えそうだ。


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