日本で人気の「Evernote」に見る、クラウド型サービスの可能性

2010年03月12日 16:20 by 石川温
Evernote社のCEOであるフィル・リービン氏

Evernote社のCEOであるフィル・リービン氏

最近、スマートフォンと相性のいい、便利なインターネットサービスと言えばやたらとアメリカ企業からの「輸入品」であることがほとんどだ。古くはグーグルのGmailやMapもそうだし、最近ではTwitterやUstreamなどもそれに該当する。


そんななか、新たなクラウドサービスとして期待されているのが「Evernote」だ。先頃、EvernoteのCEOであるフィル・リービン氏が来日し、本格的な日本語対応を完了したことから、Evernoteの日本での正式提供が明らかにされた


EvernoteはAndroidでもおなじみのアプリ

EvernoteはAndroidでもおなじみのアプリ

Evernoteはテキストや画像、ウェブページやファイルなどをオンライン上に保存できるサービスだ。WindowsやMacだけでなく、iPhoneやAndroid、Blackberry向けのアプリも提供し、どこからでも情報をアップし、参照できるようになっている。iPhoneやAndroidであれば、撮影した画像もアップしておけるし、外出先からでも保存されたデータを引き出すことができる。アップロードした画像データのなかにあるテキストを認識してキーワード検索できる機能は、現在は英語のみに限定されているが、今後は日本語認識にも対応させるなど、さらに使い勝手が向上すると見られている(Androidアプリの詳細はこちら)。


Evernoteは、アプリ単体ではなく、様々なものと連携していくのも魅力の一つだ。すでにドキュメントスキャナーのScansnapが対応しているし、キヤノンマーケティングジャパンの「imageFORMURA DR-150」でも今年4月を目処にEvernote連携機能を対応させていく。


PCではソニー「VAIO」シリーズが全製品でEvernoteクライアントをプリインストールする予定。無線LAN機能を搭載したSDカードである「Eye-Fiカード」は、直販サイトで購入したユーザーを対象に、Evernoteのプレミアム会員費が無料になるキャンペーンを展開していく。


スマートフォンでも、NTTドコモが4月に発売するAndroid端末「Xperia」において、Evernoteアプリケーションがバンドル提供される予定となっている。


なぜか、日本人に大人気なEvernote

Evernoteは現在、公開ベータ版の開始から1年半で約250万のユーザがいるという。しかも、日々、7000人の新規ユーザが増えている。無料のサービスを提供しつつ、有料のプレミアム会員からの課金によって利益を出している。ちなみに有料の会員数は約5万人だという。


Androidからのアクセスは3.9%だが、最近になって割合は増えているという

Androidからのアクセスは3.9%だが、最近になって割合は増えているという


アプリケーションの比率においては、最も多いのはWindows版の37.51%、次にiPhone版の32.37%、そしてMac版32.30%と続く。気になるAndroid版だがまだ3.9%と低いものの、最近では利用者が急増しているとのことだった。Evernoteのアクセスはアメリカ国内から61%、海外から39%となっている。海外のなかでも、特にアクセス数が伸びているのが日本からのユーザだ。


昨年5月ごろから日本のユーザーが急増したEvernote

昨年5月ごろから日本のユーザーが急増したEvernote


「ここ1年間で見ると日本からのアクセスが爆発的に伸びている。日本進出を決めた理由はここにある」(リービン氏)


実際、日本のユーザは15万人で、1日のユニークユーザ数は2万5000となる。この数字は欧州のユーザをすべて合計してもなお高い数値なのだという。今後、Evernote社では日本語版サービスを拡充させていく方針で90日以内に日本法人を設立し、日本向け機能の開発やマーケティングなどを手がけていく。


ますます重要となる「クラウド型サービス」

今後、ネットサービスにおいて重要なのは、いかにユーザが好むコンテンツを抱え込むか、という点にある。「コンテンツ」といっても、何も一方的にメディアから発信されるものがすべてではない。いまのユーザにとってみれば、日々、保存されていく膨大な受信メールも立派なコンテンツだ。その点、すでにGmailユーザであれば、過去のメールの中身をすべてグーグルに預けてしまっているわけで、そう簡単にGmailからほかのメールサービスに移行するのは困難になりつつある。


Evernoteもユーザの身の回りにある情報をネットに保存できると言う点ではとても優れたサービスだ。リービン氏が「Evernoteは外部の脳とも言えるサービス。自分の関心があることを一生、蓄積しておける」と語るように、Gmail同様一度使い始めたら手放せなくなってくることだろう。


いま、スマートフォンで便利に使えるサービスはなぜかアメリカからやってくるものが多い。確かに便利で生活がちょっと快適になるのはありがたいのだが、日本人としては、日本発の便利なクラウドサービスの登場にも期待したいところだ。


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