日本Androidの会:加速度的に広がるAndroidの可能性

2010年04月07日 17:14 by 川島亜純
  • list
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
日本アンドロイドの会イベントリポート

日本アンドロイドの会イベントリポート

日本Androidの会の定例イベントが、2010年4月5日(月)、東京・目黒の東京大学駒場第二キャンパス コンベンションホールで開催されました。


3月の定例イベント同様、今回もまた新しい会場での開催となりました。様々なメディアでの報道、量販店での大規模なキャンペーンなどで注目が集まる“Xperia”を題材にした講演があるということもあり、会場のテンションも高く、開演前、会場のあちこちからXperiaを話題にした会話もちらほら聞こえてきました。


サプライズ・ゲスト、東京大学 瀬島准教授登場


地球的規模でのスマートフォンの可能性を語る瀬島氏

地球的規模でのスマートフォンの可能性を語る瀬島氏

まず登壇したのが、東京大学空間情報科学研究センター空間情報システム研究部門助教授であり、今回の会場となった東京大学 生産技術研究所に研究室を持つ瀬島薫氏。当初、講演の予定はなかったのですが、低コストで研究環境が整うスマートフォンのアプリケーションの可能性にエールを送る形となりました。


瀬島研究室では、人がどこで何をしているかという情報を正確に得ることの必要性が地球的規模で高まりつつある状況を鑑み、位置情報や地図情報を用いた、LBS(Location Based Service)を実現する為の要素技術の研究が行われているそうです。


瀬島氏のスマートフォンへの期待は大きいものでした。「スマートフォンはtech savvy的に論じられるだけの存在ではなく、アジア、アフリカなどの発展途上国においてさらに重要な役割を果たす可能性があると思います。例えばSMSを利用して健康診断を行うことも可能。なによりそのような地域ではスマートフォンが唯一のライフラインとして機能することも考えられます」と瀬島氏は語りました。


現在のところ「途上国は電力のインフラが脆弱なので、スマートフォンが普及するのは難しい」とのことですが、「10年後、省電力化が可能になれば、スマートフォンがより高度なm-health(携帯を活用した医療システム)で活用されるはず」と締めくくりました。ご挨拶を兼ねた、短時間の講演ではありましたが、平易で、かつ具体性に富んだ内容で、会場の熱気も自然と高まるものとなりました。


Xperiaが証明する、Androidの潜在能力


「スマートフォンでは、アプリケーションがハードの使い方を劇的に変化させる」と小林氏

「スマートフォンでは、アプリケーションがハードの使い方を劇的に変化させる」と小林氏

続いて登壇したのは、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 営業本部 マーケティング部 統括部長 小林弘明氏。小林氏の講演テーマは「Android Market アプリケーション開発者が拓く可能性とXperia」。Xperiaの導入活動の中で、小林氏が実感したAndroidアプリケーション開発者の方々の優秀さについて語りました。


まず小林氏は「この会場のお客さんは、ほとんどが開発者の方と思いますが、私はマーケティングの人間なので」と前置きした後、「一年前くらいまでは、私はスマートフォンの可能性を信じてはいなかったんです。そもそも私だけでなく、当時の一般的な認識は『スマートフォンて何ですか?』というレベルだったと思います」と話し始めました。「というのも、日本にはケータイがあるじゃないですか。スマートフォンの機能の大部分はケータイでもできることだし、スマートフォンなんて日本でははやらないだろうと」と思ったとのこと。


そんな小林氏の認識を一変させたのが、スマートフォンの“動画の圧倒的な美しさ”であり“フルブラウザでの操作性”であったといいます。さらに小林氏を驚かせたのが、アプリケーション開発のスピード感。「様々な開発者と方と会わせていただきましたが、わずか一ヶ月間で各アプリケーションが大変な進化を遂げてしまう。開発者の皆様の優秀さに驚かされるばかりでした」と小林氏は語りました。


グラフからもAndroidマーケットの登録総数の飛躍的な伸びがわかる

グラフからもAndroidマーケットの登録総数の飛躍的な伸びがわかる


今後、加速度的なスピードで登場してくるであろう様々なAndroid対応アプリケーションが、スマートフォンを大きく変化させていくと小林氏は予測します。「まずアプリケーションは急激に増加していきます。次に劇的に進化を遂げます。そして最終的には、ハードさえも進化させていくはずです」。ユーザが自分に合った様々なアプリケーションを見つけ出し、ハードウエアを進化させていく…、Androidが最も真価を発揮できる状況がやってきたといえそうです。


TwitterでのXperiaの反響が示される

TwitterでのXperiaの反響が示される


次に小林氏は、Xperiaの最大のライバルと目されるiPhoneとの比較について「あちらは、もう怪物的な存在ですが我々にも勝算はあります」とコメント。それは“日本語入力”、“ソニーグループとしての強み”、そして「3rd party Applicationです」と、再び会場のアプリケーション開発者の面々に呼びかけ、講演は終了しました。


Androidを活用し、ユーザ参加型ストリートビューを!


石塚氏の軽快な語り口、提示される様々なコンテンツに会場も沸いた

石塚氏の軽快な語り口、提示される様々なコンテンツに会場も沸いた

最後に登壇したのは、冒頭に挨拶された瀬島氏の瀬島研究室で研究を行う、東京大学大学院 情報理工学系研究科 博士課程 石塚宏紀氏。テーマは「Smart Phoneを使ったPeople-Centric Sensingの魅力」。スマートフォンを持ったユーザひとりひとりがセンサーとなり、そこで集めたデータから、様々な結果を導き出すSensing。その可能性、そこでのAndroidアプリケーションの新たな方向性について語っていただきました。


人体から地球規模に渡るセンサネットワークの紹介

人体から地球規模に渡るセンサネットワークの紹介


石塚氏はまず“Sensing”について解説。現在、センサチップを利用し様々な部位、空間、地域の状況を調べるSensingは、「人体における健康支援から、地球規模の気象チェックまで」利用されていますが、都市や、地域規模のものとなると各所に設置したセンサのメンテナンスや、インフラ整備に費用、労力を要することになります。しかし「多くのセンサデバイスが内蔵されているスマートフォンを使うことでこの問題がクリアされる」可能性があり、さらに「Androidは扱えるセンサの幅が広い」といいます。


群馬県館林市で行われた、動きまわる人間にセンサデバイスを付けデータを取る実験のマップ

群馬県館林市で行われた、動きまわる人間にセンサデバイスを付けデータを取る実験のマップ


次に石塚氏は、瀬島研究室で行った群馬県館林市における気温測定、東京・秋葉原でスマートフォンを利用して行ったストリートビュー作成などの研究結果を披露。今後、スマートフォン・ユーザからの情報を集約することで時間帯、天候、季節別のストリートビューも可能であると語っていました。


秋葉原で3500カット以上を撮影し制作されたストリートビューが公開された

秋葉原で3500カット以上を撮影し制作されたストリートビューが公開された


会場から「通行人の顔写真など、個人情報の保護についての対策は?」との質問が飛んだ際には、石塚氏から「(集まってくる全データの画像を)サーバー側で処理するのは大変な作業となります。そこでアプリケーションとして画像処理できるものがあれば、問題はクリアになるはずです」との返答があるなど、今回は最後までAndroidアプリケーション開発への期待感に溢れた講演となりました。


Xperiaの発売後ということもあり、Androidへの関心が一気に高まる中で開催された今回の定例イベントでしたが、講演テーマもまさにAndroidの今後の可能性への期待を高めてくれるようなものばかりでした。来月の定例イベントが、今から楽しみです。

  • list
  • このエントリーをはてなブックマークに追加