日本通信「b-mobileSIM U300」から考えるSIMロック議論

2010年04月08日 14:57 by 石川温
「b-mobileSIM U300」

「b-mobileSIM U300」

先週2日(金)、SIMロック解除のヒアリングが総務省で開催された。SIMロックを解除することで、通信事業者間の競争を促進、端末と通信を分担し、MVNOなどの新規参入事業者を増やそうというのが狙いだ。


そんな通信のオープン化に向けて、つねに邁進しているのが日本通信だ。NTTドコモの通信網を間借りし、MVNOとして様々なサービスを提供しつつある。同社が4月5日(月)から発売を開始したのが「通信電池 b-mobileSIM U300」と呼ばれるサービスだ。「まるで乾電池のように、通信を買うことができる」、通信料金込みのSIMカードを販売するという日本では画期的なサービス。消費者は1カ月、6カ月、1年間という期間を選ぶことができ、SIMカードスロットのあるノートパソコンやスマートフォンで使えるというものだ。


1カ月の価格は2980円。NTTドコモのデータ通信料金が6000円を超えるのだから、約6割程度の料金となる。これでNTTドコモと同じエリアが使えるとあれば、かなりお買い得だ。ただし、気をつけなくてはいけないのが通信速度通信電池では、上限を上下300Kbpsに制限してしまっているのだ。


とはいえ、この300Kbpsというのは意外と現実的な数値ともいえる。インプレスR&Dが毎年発行している「ケータイ白書2010」によれば、各社の携帯電話による平均ダウンロード速度はNTTドコモが423.4kbps、auが439.0kbps、ソフトバンクモバイルが148.3kbpsという程度しかない。各社のカタログ値では、7.2Mbpsなどと表記されているが、実際にスマートフォンで使うとなると、そこまでの速度のメリットはなかなか体感できるものではない。速度よりも料金にこだわるユーザーであれば、間違いなく通信電池の300kbps程度で満足できるはずだろう。


日本通信では「あくまで第一弾の商品。今後は通信速度制限を見直す可能性も充分にある」と語るので期待してよさそうだ。b-mobileSIM U300があれば、海外のスマートフォンを入手して、国内でも安価に使えるという期待が膨らむ。しかし、日本通信では「技適マークを取得した端末のみでお使いください」と注意している。技適(技術基準適合証明)マークとは、国内で問題なく使用していいという認証マークで、総務省の管轄で様々な通信機器についている。日本でキャリアが発売する携帯電話には必ず技適マークがついているものなのだ。


日本のキャリアから発売の携帯電話には、必ず技適マークがついている。

日本のキャリアから発売の携帯電話には、必ず技適マークがついている。


海外で発売されているものは、日本の技適マークを取得していないケースがほとんどだ(香港で販売されているSIMロックフリーのiPhoneは設定メニューから「認証」という項目から技適マークを表示させられる)。そのため、現状、b-mobileSIM U300が使えるのは日本国内で流通している製品に限定されてしまっている。しかし、NTTドコモのXperiaやTー01A、HTー03AをはじめとしたNTTドコモ製品や、HYBRID W-ZERO3、ノキアE60、E61など幅広い。もちろん、NTTドコモの定額通信に対応したUSB端末やノートパソコンも利用できる。


海外端末であるNexus Oneを通信電池で使用するのは、現状「自己責任」となってしまう。

海外端末であるNexus Oneを通信電池で使用するのは、現状「自己責任」となってしまう。

本来であれば、海外で発売されているNexusOneなどを通信電池で安価に使いたいところだが、現状ではそれは許されないとされている。技術的には使えないことはないが、実際に使うには「自己責任」となってしまうのだ。


SIMロックの議論やMVNOの参入など、通信環境は変化がみられつつあるが、肝心の端末における法整備は遅れが目立っている状態だ。海外で当たり前のようにローミングで日本に来る端末が、技適マークがないからといって使えないというのは何とも変な話だ。通信会社の競争環境を促進させる意味でも、こうした法整備も進めてもらいたいものだ。