広告媒体としてのアプリ~注目されている広告市場~

2010年05月12日 16:15 by 石川温
アプリケーション画面

ユーザは様々なアプリをダウンロード

アプリ市場の新しい兆候として注目されているのが広告市場だ。アプリはウェブとは異なる「媒体」のひとつとして、成長が見込まれている。


iPhone向けアプリが出始めた頃、誰もが世界に向けてお金を稼げるという夢を見ることができた。しかし、実際のところ、本当に大金を儲けることができたのは、App Storeが始まった初期のころにアプリを提供し始めた開発者のみ。一部には数千万円という大儲けをした開発者もいたようだが、ほとんどの人たちが開発費をようやく回収できた程度に過ぎない。


趣味レベルでアプリ開発を手がけている個人であれば利益もできるが、大手ゲーム会社など会社組織単位で儲けようとなると相当な苦労が必要となる。


膨大なアプリは価格競争へ

アプリ開発者の皮算用が狂い始めた原因として、膨大なアプリが登場したことが挙げられる。類似アプリが大量に登場し、一気に価格競争に陥った。有料のもののほとんどがアメリカでは99セント、日本では115円というのが当たり前となり、開発費をかけても回収できない状態となってしまった。また、日本ではケータイ公式サイトの影響もあって、ユーザが有料コンテンツにお金を支払う行為にあまり抵抗はないが、海外のユーザはコンテンツにお金を払うことにとてもシビアだ。アプリを出してもなかなか買ってくれないという状況もあり、開発者はついつい「体験版」として、無料配布してしまう傾向が強くなってきていた。


市場拡大が見込まれるアプリ広告

WorldWalkerに掲載されている広告(左上)

広告はアプリでも有力な収益源

そんな時に登場したのがアプリ向けの広告プラットフォームだ。AdMobなどが代表例となるが、アプリの一部に広告を配信してくれ、売り上げの一部がアプリ開発者に還元される仕組みが整備されるようになったのだ。


例えば、アプリ開発者は自分のアプリの一部分に広告が入るように加工しておく。ユーザは、アプリを使う度に広告にふれ、気になれば広告部分をタッチして新たな情報を得ることができる。広告は、静止画だけでなくテキストや動画、他のウェブページにも連携して新たな広告を見せることができる。アプリ内で広告を見せつつ、他のアプリをダウンロードさせるといった連携も可能だ。




AdMobが素晴らしいのが、広告を出稿するのも、手軽にウェブ上から手続きをできるようにしたという点だ。広告の予算や出現頻度などもウェブから設定できるので少ない予算でも広告を出すことができる。


アプリ開発者も無料でアプリを配りつつ、広告収入で開発費を回収して利益を出すというビジネスモデルを描けるようになった。


市場拡大が見込まれるアプリ広告

アプリによる広告市場は今後、巨大な産業に発展する可能性を秘めている。実際、AdMobはグーグルに買収を仕掛けられた状態で、同社の傘下に入ろうとしている(5/7時点で買収は完了していない)。


アップルも、自社で独自に「iAd」と呼ばれる新機能を投入し、夏頃登場と見られている「iPhone 0S 4」からサービスを開始しようとしている状態だ。


Androidにおいては、現在のところ、キャリアによる課金代行システムが始まっておらず、有料アプリを購入するにはグーグルチェックアウトという仕組みを使わなくてはいけない。しかし、一般的なユーザには敷居が高く、思ったように使われないのが現状だ(実際、AdMobの調べでは1カ月に1つ以上、有料アプリを購入するAndroidユーザは全体の21%に対し、iPhoneユーザは50%が購入している)。


Androidでのアプリビジネスは、有料配信に加えて、広告という選択肢も加えることができそうだ。アプリの適正に応じてビジネスモデルを選択することが、ビジネス成功の近道になるのかも知れない。