日本Androidの会:メディアも注目するイベントに成長

2010年05月14日 17:36 by 川島亜純
『日本Androidの会』5月定例イベント

『日本Androidの会』5月定例イベント

「日本Androidの会」5月の定例イベントが、2010年5月10日(月)、東京・池袋の立教大学、池袋キャンパスで開催された。当日はNHKなどが取材に入り、Android及びスマートフォンへの興味が、コア・ユーザだけではなく、一般ユーザにも巻き起こっていることを証明することになった。


海外では、第1・四半期の米スマートフォン市場で、Android端末がシェア28%を占め、シェア21%のiPhoneを抜いて2位に浮上した(1位はBlackberry)、とのニュースが飛び込むなど、Androidへの期待が高まっている中行われた定例イベントの模様をお伝えする。


「日本Androidの会5月定例イベント」開催概要

<日時>

2010年5月10日(月)

<場所>

立教大学 池袋キャンパス

<主催>

日本Androidの会・早稲田大学

<講演>

モーリス・ジェー氏(Engineer of Opera Software)

白石俊平氏(株式会社オープンウェブ・テクノロジー 代表取締役)

山本直也氏(カタリスト・モバイル株式会社 マネージャ)

平野裕介氏(KDDI オープンプラットフォーム部 主任)


英語と、ときおり日本語も交えての講演となったジェー氏

英語と、ときおり日本語も交えての講演となったジェー氏

Operaのエンジニアが示す、Androidの可能性

立ち見が出るほどの大盛況となった会場の演壇に、最初に登場したのは、Opera Software社のエンジニアであるモーリス・ジェー氏。「Androidは電話だけでなく、カーナビなど様々なデバイスに活用できる事でも注目されており、日本のメーカーもますますAndroidのシステムに注目している」と話す。


Nine Patch

開発キットであるNine Patchを紹介


ジェー氏は、「高解像度デバイスが世界的に盛んに開発され、その多くにAndroid OSが採用されています。Android OSのバージョンは1.5から始まり、1.6から2.1へと高機能へ変遷しました」と説明。「高解像度デバイスの中でも、アプリケーション開発者が特に注目しているのが携帯電話端末です」と述べた。そして、開発者が作成したアプリケーションを高解像度デバイスでも問題なく動作させる有用な方法を、Operaブラウザをサンプルに紹介した。


HTML5によって「webそのものがバージョンアップしていく」と語る白石氏

HTML5によって「webそのものがバージョンアップしていく」と語る白石氏

話題のHTML5の全貌を公開

続いて講演を行ったのは株式会社オープンウェブ・テクノロジー代表取締役の白石俊平氏。白石氏はJava EEエンジニア、フリーのテクニカルライターを経て、2010年3月に同社を設立した。


講演タイトルは「What is HTML5?」。HTMLの次期バージョンとして注目が集まる、HTML5と関連API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)についての概要である。まずHTML5の誕生意義を確認するために、HTMLの歴史から紹介した。


「近年web上には文法的に正しくないHTMLが大量に溢れてしまっており、これを打開するためにW3C(World Wide Web Consortium)が仕様策定を行ったのがXHTML。ところがHTMLは、Google Mapや、Gmailなどに使われ需要は高まっていくものの、アプリケーションの進化についていけなくなってしまった。そんな中Googleからの提案もあり、XHTML1.0も包含した形で誕生したものがHTML5」だという。


ここでのポイントは、標準化団体であるW3Cの意向ではなく「開発者の要望が、HTML5の方向性を後押しした」ことといえる。この定例会で講壇に立った多くの講師の方が、「開発者の皆様の卓越した技術、柔軟な発想こそが、スマートフォン、そしてAndroidの未来を担っている」と発言していたが、このエピソードからも、それが裏付けされたといえそうだ。


HTML5ではWeb表現の可能性が広がる

HTML5ではweb表現の可能性が広がる


次に白石氏は、HTML5の大きな方向性として“セマンティック&アクセシビリティ”、“言語間の互換性”、“リッチインターネットアプリケーション”の3つがある事を紹介。“セマンティック&アクセシビリティ”については「健常者、障害者、プログラムの誰に対しても読みやすいもの。これまでは表現できなかった章、節、項などの文章構造そのものをタグで表現可能することができ、SEOも有効にできるようになる」と解説。


またHTML5がHTML4文書とも互換性があるこや、3Dグラフィック等のリッチコンテンツに対しても親和性があることを説明。HTML5の登場により、webはさらにバージョンアップするとして講演を終えた。


佐藤氏は「AndroidはiPhoneに大きな期待感を持っていたはず」と分析

カタリスト・モバイル株式会社マネージャ 山本直也氏

AndroidのフルFlash対応は可能か?

3番目に登壇したのは、カタリスト・モバイル株式会社 マネージャ 山本直也氏。IT大手企業でのクライアント・サーバソフトウェア開発後、モバイルデバイスの組込開発に従事、日本の全ての携帯電話開発メーカーのFlash Lite搭載に尽力してきた山本氏の講演テーマは「AndroidとFlashとiPhoneとCorona」。


Flashというアプリケーションの全体像を紹介した上で、現状のFlashに対応していないiPhoneについて、Apple社とAdobe社のiPhoneに対する思惑と現実とのギャップなどを紹介した。


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最新のFlash10.1のスペックを紹介


このギャップについては「FlashがiPhoneというデバイスには重く、消費電力も多いアプリケーションであることは事実。しかし、それ以上に、ネイティブアプリ(内蔵コンピュータが、そのまま実行できるプログラム)こそ、最高のパフォーマンスを実現するのだ、というAppleの考えと、Adobeの方針の違いが亀裂の原因だと思う」と語る。


本題である、スマートフォンにおけるフルFlash対応については「限られたメモリ、CPU、バッテリーの中で、フルFlashを実現していくには、PC環境とターゲットデバイス環境の2つで開発(クロス開発)をしていく必要がある」とまとめた。最後にAnsca Mobile(アンスカモバイル)社のスクリプト開発者のためのアプリ開発環境、CORONA SDKを紹介して講演を終えた。


IS01タッチアンドトライを促しスタートした平野氏の講演

IS01タッチアンドトライを促しスタートした平野氏の講演

au初!Android搭載スマートフォン「IS01」を紹介

最後にKDDIオープンプラットフォーム部主任、平野裕介氏。平野氏からは、au初のAndroid搭載端末として、先日発表したスマートフォン「IS01」と、開発支援方針を紹介した。


「我々、日本人にとって使いやすいスマートフォンを目指しました」と、平野氏が語るIS01の特徴は、まず「既存のケータイのよさを活かしたデザイン性、安心感、使いやすさ」。次に「人と人とのコミュニケーションを楽しめる」端末であること。そのため採用されたのが、「QWERTYキーボードや5.0インチのフルワイド液晶」と語った。平野氏は「QWERTYキーボードを搭載したことでブログ、SNS、Twitterなどで使い勝手が良い。また、大画面なので、webサイトの横スクロールが必要なく、ブラウジングのストレスが少ないことも魅力です」とコメントした。


平野氏が何よりも熱く語ったのが、アプリケーション開発者支援方針について。「キャリア主導ではオープンプラットフォームのよさを活かせないと考えます。できる限り情報を自由化し、開発者の方の、こういうことをやってみたいんだ、という情熱に応えられる体制を取っていきたい」という。そのために「auマーケットで個人開発者向けの展開を考えています。もちろん、これは開発者の方の囲い込みを行うことではありません。他社に登録していただいてもけっこうです」と考えを示した。


講演終了後も、サンプルとして持ち込まれたIS01本体を手に、平野氏に質問をする参加者が多く、時間を大幅に延長するほどの熱気に満ちた夜となった。


※講演資料はこちらに掲載されています