Mark Frankel氏が語る「Snapdragon」の強みと今後の展開

2010年08月27日 16:07 by 石川温
スマートブックやスマートフォンに内蔵されている「Snapdragon」

スマートブックやスマートフォンに内蔵されている「Snapdragon」

ここ最近のスマートフォンで必ずといっていいほど搭載されているのがクアルコム社チップ「Snapdragon」だ。特にAndroid、WindowsPhoneにおいては欠かせない存在になりつつある。


Snapdragonはなぜ多くのメーカーに採用され、デファクトを取るまでになったのか。今後の戦略も含め、クアルコム社のMark Frankel氏に話を聞いた。


Snapdragonはまだ進化の途中

いまやスマートフォンに当たり前のように搭載されている無線チップセット「Snapdragon」。それらを開発するクアルコムは世界最大の無線チップ会社である。チップ会社と言っても工場は持っていない。世界最大の「ファブレス企業」(※)として製造は外部に委託しているのだ。無線チップで最大規模を誇るクアルコムだが、他の半導体を含めても世界第6位のシェアを誇る。携帯電話、スマートフォンだけでなく、電子書籍端末や車載用無線通信機器、アメリカではMediaFLOなど幅広い製品を提供している。

(※自社で生産設備を持たず、外部の協力企業に100%生産委託しているメーカー)


現在、多くのスマートフォンに搭載されているSnapdragonは、QSD8250、QSD8650という型番になっている。東芝が世界初としてSnapdragonを搭載したのを皮切りにソニー・エリクソンやシャープ、HTCなど幅広いメーカーがスマートフォンに内蔵して製品化している。現在、1GHzというスペックを誇るSnapdragonだが、今後もますます進化していく計画だ。


「現状のSnapdragonは65ナノとなっており、中級機器を想定して1GHzとなっている。しかし、8×50シリーズは今後、45nm化することで、クロック数を1.6GHzまで上げることが可能だ。また、MSM8260、MSM8660はデュアルコア化することで1.2GHzを想定している」(Mark Frankel氏)


スマートブック市場の開拓に注目

スマートフォン市場に着々と普及しているSnapdragonだが、今後はスマートフォン以外の市場も狙いつつある。その一つが「スマートブック」と呼ばれるデバイスだ。


「この2年間、スマートブックという新しい分野を開拓してきた。スマートブックはスマートフォンと、ネットブックのいいところを融合していく商品だ。スマートフォンのいいところは常に持ち運びができて、常時接続、GPSの位置情報取得など、ケータイのように使えるところ。


一方、ネットブックはディスプレイが大きく、フルキーボード、さらにはFlashにも対応する。これらを融合したスマートブックは大きな画面でフルキーボードを搭載する。さらには常時、3Gにつながっており、いつでもメールを着信できる。しかもスマートフォンのようにいちいち電源を落とす必要がない。とても便利なデバイスだ」(Frankel氏)


様々なメーカーがスマートフォンにSnapdragonを内蔵して製品化している。今後スマートブック市場も注目

様々なメーカーがスマートフォンにSnapdragonを内蔵して製品化している。今後スマートブック市場も注目


日本でいえば、auのIS01がスマートブックの発想に近いだろう。すでに海外では5~7インチのディスプレイが大きく、見た目はネットブックのようなスマートブックが相次いで登場している。Frankel氏によれば、今年はスマートフォンとパソコンの出荷数が同数かもしくはスマートフォンが逆転すると予想する。それに加えて、スマートブックの需要も伸びていくとみているようだ。


クアルコム「Snapdragon」が強い理由

クアルコムのSnapdragonが他に先駆けて1GHzを実現し、さらにはデュアルコア化を進めるのには大きな理由があるとFrankel氏は語る。


「Snapdragonはクアルコムの自社設計になっている。ARMからライセンスを受けたモノではないのだ。それが大きなアドバンテージと言えるだろう。自社で判断できるからこそ、早々に1GHzを実現できたのだ」


「Snapdragon」の強みの理由を語るクアルコム社のMark Frankel氏

「Snapdragon」の強みの理由を語るクアルコム社のMark Frankel氏


通常、他社はARMからブラックボックスを提供されるのが一般的。しかし、クアルコムでは数年前に社内でCPUを自分で設計するという戦略を立てた。これにより早期に1GHz対応が可能となったのだ。自社設計のメリットは開発スピードだけではない。


「自社設計にすることとで幅広いセグメントへの展開が可能となる。1.5GHz、1.3GHz、800MHzといったラインナップを構築することも可能だ」


今後、ますます高速化されるSnapdragonだが、一方で、世界を見渡すと、Xperia X10 miniのように安価に購入できるスマートフォンという市場もできつつある。Snapdragonは普及価格帯でも勝負できるものなのだろうか。


「自社で開発しているので、ローエンドにも対応できる。800MHz以下というのも可能だし、65nmから45nmにすることで、コストも下げられるはずだ」


スマートフォンには欠かせないSnapdragon。今後、さらに様々なデバイスに搭載されていきそうだ。