日本Androidの会:2011年に向かい、更なる拡大を予感させるAndroid

2010年10月06日 14:56 by 川島亜純
日本Androidの会、10月定例イベント開催

日本Androidの会、10月定例イベント開催

日本Androidの会、10月定例イベントが去る9月30日、東京大学駒場第二キャンパス コンベンションホールで開催された。


Android向けアプリケーション開発者の間で、すっかり定着した本イベント、雨模様にもかかわらず今回も開発者を始めとした多数の人たちが参加した。イベントの様子をリポートする。


「日本Androidの会10月定例イベント」開催概要

<日時>

2010年9月30日(木)

<場所>

東京大学駒場第二キャンパス コンベンションホール

<主催>

日本Androidの会・東京大学 生産技術研究所 瀬崎研究室・東京大学 空間情報科学研究センター

<講演>

アレックス グランスタイン氏(Google ソフトウェアエンジニア)

梶川敬文氏(開発者)

渡辺潤氏(クアルコムジャパン株式会社 マーケットアナリスト)

徳間康晋氏(NECビッグローブ株式会社 アプライアンス事業開発本部 マネージャー)



アレックス グランスタイン氏(ソフトウェアエンジニア)

アレックス グランスタイン氏(ソフトウェアエンジニア)

大きな可能性を予感させる、音声認識ソフトが登場

最初に登場したのは、米Googleでモバイル機器用の音声認識技術に取り組んでいるソフトウェアエンジニア、アレックス・グランスタイン氏


今回、グランスタイン氏は、Android端末で音声入力によるWeb検索を可能にするアプリ、「Voice Search」についての講義を行った。日本語版の動画素材も用いながら、Voice Searchが、いかなる方法で、音声認識、検索を行うかを詳細に紹介。音声認識だけでなく、「毎日何十億という検索が行われる、Googleのサーチログを利用することで、より正解に近い検索が可能になるのです」と語る、グランスタイン氏。


乗用車の騒音がうるさい、街頭でも音声認識、検索が可能な「Voice Search」

乗用車の騒音がうるさい、街頭でも音声認識、検索が可能な「Voice Search」


続いて「Voice Search」が提供するシンプルなAPIを利用することで、それぞれのアプリ開発者が自分のAndroidアプリに、この音声認識機能を組み込めることを紹介。「とっておきの機能」として公開された動画では、犬の鳴き声を検索することで、飼い主がペットの気持ちを理解できるといった機能も披露し、盛り上がりを見せた。


「Voice Search」は検索だけでなく、eメール、SNS、Twitterなどにも利用可能とあって、参加者からは、積極的に質問が続いた。「Voice Search」の可能性を感じさせる講演となった。


言語設定を英語にすれば発音診断もできるという

言語設定を英語にすれば発音診断もできるという



梶川敬文氏(開発者)

梶川敬文氏(開発者)

知識不要のツールを、開発者はいかに使いこなすべきか?

二番目の講演者は梶川敬文氏。梶川氏はワープロ開発を皮切りに、現在は外国人向け日本語学習サイトの開発を行っている。


梶川氏が講演テーマに取り上げた素材は、Googleがこの夏公開したAndroid端末アプリの開発ツール「App Inventor」であった。プログラミングの知識がなくても、ドラッグ&ドロップで簡単にAndroidアプリを設計できるという、話題のアプリケーションだ。


「このツールを使うことで知識不要、コードを書かなくてもアプリ開発が可能になりました」と梶川氏。ボタンなどのデザイン項目、“アクションを繰り返す”“情報を保存する”といった動作を、ドラッグ&ドロップして配置することでアプリを設計できることを紹介した。更に「クロック」「カメラ」「加速度センサー」など、Android端末の機能や、高度なタスクに対応したコンポーネントが用意されていることもあり「今ネット上に溢れる粗悪なアプリを、乱造するツールではなく、しっかりとしたアプリも開発することができるツールである」とのこと。


「App Inventor」のブロック画像。これを配置しアプリを作成する

「App Inventor」のブロック画像。これを配置しアプリを作成する


最後に「App Inventor」には、apkファイル生成時の容量が大きい、ソース内のサーチがない、など課題点も多々あるが、それらを工夫しながら克服し、「パズルをする感覚で接することが使いこなすポイント」だと参加者にアドバイスを送り、梶川氏の講演は終了した。



渡辺潤氏(クアルコムジャパン株式会社 マーケットアナリスト)

渡辺潤氏(クアルコムジャパン株式会社 マーケットアナリスト)

多種多様なシーンで、活躍が期待されるARを紹介

続いては、クアルコムジャパン株式会社マーケットアナリスト・渡辺潤氏が登壇した。同社のモバイルARプラットフォーム戦略の中心となる、「Vision-Based AR」について講演。「Vision-Based AR」は、iPhoneをはじめau「IS01」などにも搭載された「セカイカメラ」同様のArgument Reality(AR/拡張現実)機能だ。


渡辺氏は「当社ARの大きな特長は「Vision-Based」(映像による制御)であること。「GPS-Based」(GPSによる位置情報からの制御)で生じてしまいがちな画像のずれ、これを解消し多種多様な活用シーンが可能になりました」と、ARにおける「Vision-Based」の優位性をアピールした。


毎秒30サイクル以上の読み込みで動画をマーカーへと被せていく「Vision-Based AR」

毎秒30サイクル以上の読み込みで動画をマーカーへと被せていく「Vision-Based AR」


次に「Vision-Based AR」の活用シーンとして、ゲーム、広告、ナビゲーション、SNS、検索などの例をあげ、「例えば輸入家具の組み立て。組み立て方は書いてはあるけど、見方がわからず途方にくれる、ということがあると思います(笑)。こういう際にも組み立て方を立体のCGで表示することが可能になります」と語る。


そして、近日中に「Vision-BasedAR」のAndroidアプリ開発用SDKを無償提供すること。さらに、Android開発者向けのAR SDK無料セミナーが、10月18日に開催されることが発表された。



徳間康晋氏(NECビッグローブ株式会社 アプライアンス事業開発本部 マネージャー)

徳間康晋氏(NECビッグローブ株式会社 アプライアンス事業開発本部 マネージャー)

世界市場を見据えた、Android情報発信基地となるandronavi!

最後の講演は、去る8月24日にグランドオープンした当サイト「andronavi」の紹介。壇上、NECビッグローブ株式会社 アプライアンス事業開発本部マネージャー、徳間康晋氏は、まずビッグローブのクラウドサービスに対するビジョンを「ユーザが、それぞれのニーズに合わせて、クラウドサービスを自在に使いこなす、パーソナルクラウドの実現」であると紹介。


そして、クラウドサービスを取り巻くビジネスの動きとして「スマートフォン、タブレット端末の普及、世界的な市場の拡大があり、そこでAndroid関連市場のポテンシャルが証明された」と語る。だが、日本におけるAndroidマーケットの現状はアプリケーションのラインナップが少ない。アプリを探しづらく、あったとしても課金システムが多様でないなどの問題点があったことを指摘した。andronaviでは、それらの課題を解消しあらゆる人に使いやすいマーケット、ビジネス基盤の提供を目指すという。


そして、グランドオープン以降、andronaviの3つの柱として、まず「アプリコンテンツの充実。キラーアプリを持つメジャーパートナーとの連携を強化」を挙げた。オンライン雑誌アプリやナビゲーションアプリ『NAVITIME』、コーエーテクモゲームス『Annie’s Wild Shot』、ハドソン『ネクタリス』、『ボンバーマン道場』などの人気ゲーム、英語学習アプリ、アルクネットワークス『ボキャブラキング』などメジャーパートナーの有力アプリを提供するだけでなく、ビッグローブのオリジナルアプリも拡充していくという。ちなみにバンダイナムコゲームス『PAC-MAN』、タイトー『PuzzleBobble』は近日掲載予定だ。「本年度中に4,000本のラインアップを目指します」と語った。


スマートフォン、タブレット端末の普及、世界的な市場の拡大。三つの柱を基盤に広がるandronavi

スマートフォン、タブレット端末の普及、世界的な市場の拡大。3つの柱を基盤に広がるandronavi


次のポイントは「使いやすさと高い利便性の実現」。すでにユーザ向けには、アプリ検索ジャンルを、メインカテゴリーとサブカテゴリーに分類、細分化することで、より絞り込んだ検索が可能となっている。アプリ開発者向けには、アクティベーションによるアプリの不正利用防止を実現した。「2011年にはアプリ内課金、期間限定利用課金への対応を行うなど、ビジネス環境を整備。オープンで安全なアプリマーケットで、様々なサービススタイルのアプリ提供、andronaviの活性化を図っていきます」と宣言した。


そして、3つ目のポイントは「andronaviは国内のAndroid市場を牽引していくだけでなく、世界に向けて、日本らしいアプリケーションを発信していく場」であるという点。「英語版サイトはすでにオープンしましたが、年内には米国でアプリの配信も開始します。そこでは、ゲーム、写真集、『サトラレ』、『きまぐれオレンジ★ロード』、『リモート』、『シバトラ』他、テレビドラマやアニメ化された人気コミックなど、日本らしさを感じさせる計200タイトルの英語版アプリを提供していく予定です」と、英語版アプリの主要コンテンツを紹介。


andronaviは更なるグローバル化、コンテンツの拡充に取り組んでいく

andronaviは更なるグローバル化、コンテンツの拡充に取り組んでいく


また、2011年中には、中国語版、フランス語版サイトもオープンする予定だという。最後に最新の情報として、10月5日からの個人開発者向け有料アプリの取り扱い開始を発表。開発者にさらなるAndroid市場への参加を呼びかけた。いよいよ国内外に向け、本格始動したandronaviに今後も注目だ。