

「Nationite MIDnite(Wits A81E)」中華タブレット
今回中華タブレットの実力を知りたいと思い、メディアプレイヤーなどを販売する通販サイト「MP4nation」から「Nationite MIDnite」というタブレットを購入したので、ご紹介します。
Androidはスマートフォンはもちろん、スマートフォン以外のモバイル端末に続々と採用されています。以前からタブレット型の端末が商品化されており、この“Android端末なう”でも「BIGLOBEモニター端末」「光iフレーム」「SmartQ5」「Archos5 Internet Tablet」が紹介されてきました。
この秋以降も多数のAndroidタブレットが発売される予定で、Samsungは「GALAXY Tab」、国内でもマウスコンピュータが「LuvPad AD100」を発売します。最新のモデルではAndroid OS 2.2(Froyo)を搭載した物も多いです。
さて、Apple社製のタブレット端末「iPad」が発売された前後から、中国製のAndroidタブレット(中華タブレット)が一部のユーザの注目を集めています。約1万円という低価格なモデルから、外観がiPadにそっくりなものまでが相次いで発売され、秋葉原などの一部のショップでも販売されたようです。今回紹介するタブレット「Nationite MIDnite」もAndroid OS 2.2を搭載しています。
箱、真っ白です
「Nationite MIDnite」は、中国の深セン市維智科技有限公司がリリースした「Wits A81E」のOEM供給モデルです。筐体のロゴ以外、基本的な部分は共通しているようです。


箱は真っ白です
香港からEMSで送られてきた包みを開封すると、中に入っていたのは真っ白な箱でした。商品名も何も印刷されていない箱はちょっと寂しい感じ。箱を開けると、専用ポーチが顔を出します。


中には専用ポーチに入った本体
その下にはAC充電器、シガーソケット用充電器、USB変換コネクタといった付属品が入っています。AC充電器のコネクタ、入力規格とも日本での仕様に合致していました。


本体の下には付属品
なお、筆者の場合発送が遅れたお詫びとして、販売店がイヤホンマイクを同梱してくれていました。シガーソケット用充電器をつけているということは、やはり車内での運用も想定しているということなのでしょうか。
思いのほか、大きい本体
7インチのディスプレイを搭載しているので小さいわけはないのですが、個人的には思っていたよりも少し大きかったように感じました。ぱっと見た感じはタブレット端末というよりはデジタルフォトフレームかポータブルナビ(PND)のようでもあります。


本体外観。思っていたより大きかった
外観は割とシンプルです。本体の上側に電源スイッチとボリュームボタンがあります。電源スイッチは充電中点灯。
本体左側には上からイヤホン端子、miniUSB端子、充電コネクタとなっています。イヤホン端子はピンジャック部がL字になっているイヤホンを使おうとすると、筐体に干渉して奥まで刺さらないというのが難点です。
USBはホスト機能もあるらしく、キーボードなどのデバイスを接続できるようです。その際は付属品の変換コネクタを介して接続します。


本体上側には電源スイッチとボリューム、本体左側は上からイヤホン端子、miniUSB、充電コネクタを配置
本体背面にスピーカー、そしてスタンドがついています。細いのですが、一応ちゃんと自立してくれます。しかし頼りないスタンドなので、折らないように気を付けたいところです。


スタンドを標準装備している
実際の使い勝手は?
「Nationite MIDnite(Wits A81E)」の利点はまずは画面が大きいこと、そして動作が比較的軽いということです。動作については、Android OS 2.2を搭載していることから、もっさりしているのではないかと懸念していましたが、意外とそんなことはありませんでした。
CPUに「TI OMAP3 3530」を採用していますが、定格600MHzであるところを800MHzにオーバークロックしているのだそうです。ひょっとするとそれが効いているのでしょうか。せっかくの動作の軽快さをメモリの少なさでやや足を引っ張っている感もあります。Android OS 1.6の頃は256MBも載っていれば十分かと思っていたのですが、Android OS 2.x世代になるとやはり512MB必要なのかなと思わされます。
画面が広いことから、ライブウォールペーパーも非常によく映えます。解像度は800×480ピクセルと標準的なものですが、見た目もう少し大きいようにも感じられるほどです。


ホーム画面。ライブウォールペーパーを設定しても動作が遅くはならない
Android OS 2.1でAdobe Flash Liteが導入されましたが、Android OS2.2では更にAdobe Flash Player 10.1が導入され、PC向けのFlashサイトがおよそ支障なく閲覧できるようになりました。本機にも導入されており、Flashサイトを閲覧することが可能です。


Adobe Flash Player 10.1は標準搭載
Androidそのもののソフトウェアの構成はおおよそ標準的な物です。ひとつ感心したのは、標準ロケールに日本語も入っていたことでしょうか(そこまでするなら日本語IMEも入れて欲しかったというのはわがままかな)。
プリインストールアプリはゲームなどいくつか入っていますが、一部動作が怪しい(有効期限が切れているためバージョンアップを促されるが、アプリがダウンロードできないなど)ものもあります。
ハードウェアはマルチタッチに対応していないようなのですが、明らかにマルチタッチを想定したシューティングゲームが入っているのはちょっと切なくなってしまいました。


非常に楽しそうなシューティングゲーム、マルチタッチは非対応
Gmail、Androidマーケット、Googleマップなど、Googleアプリケーションが標準で入っているのが特筆すべきポイントなのですが、どうもこれも無理矢理導入しているのではないかと疑わせるほど、挙動が怪しく感じられます。
また、本機はGPSがオプションとなっているので追加しているのですが、GPSの測位がどうも怪しく、すぐに0,0ポイント(ガーナ沖)を指してしまいます。筆者所有の個体のみかも知れませんが、時々ちゃんと測位することもあるのでいまいち信用ならない感じです。
このほかバッテリーの残量表示があまり信用できず、半分くらい残っていたはずなのに突然残量警告を表示したり、まだ満充電になっていないにも関わらず「充電完了」と表示したりします。3,000mAhと大容量のバッテリーを搭載しているはずなのですが、あまりその恩恵を感じられていません。中華タブレットでは電源周りのトラブルの話がよく聞かれ、最悪電源回路が燃えてしまい二度と使えなくなるという事も起こっているようです。本機の充電もちょっと注意して行った方がいいのかも知れません。(筆者は自宅でちゃんと状態チェックができるときしか充電をしないことにしています)
万人に勧められる端末ではないが、利点もあり、今後に期待
利点もある一方で、それを覆してしまうくらいの欠点も備えてはいますが、筆者は概ね満足はしています。もう少しできが悪いのではないかと思って買っていたので、思っていた以上にはまともだったからでしょう。実際わかっている欠点・難点については、それを避けるよう心がけていれば、作業中に不具合を起こすといったことは現状ありません。
現在我が家ではスマートフォンとPCの中間的な用途、あるいはAndroidそのままの操作感で利用できるデジタルフォトフレームとして積極的に利用しています(音楽や動画も扱えるので、メディアプレイヤーとしても結構気に入って使っています)。
Android初心者、海外製デバイス初心者にはあまりお勧めはしたくないモデルです。しかし、結構お安いのである程度熟達している人や欠点に対して割り切れる人、開発用の評価機を安く手に入れたいという向きにはお勧めしてもいいのかなと感じています。
本製品は難があるとはいえ、以前触ったことがある中華タブレットよりは随分とできがよくなっているので、無名なメーカーであってもいずれはもっと高品質のタブレット製品を出せるのではないかと期待します。もともとデジタルフォトフレームやカーナビのパーツを流用できるため、タブレット型端末はコストが落としやすいという側面もあるのだそうで、低価格かつ高品質の製品がそのうち登場するのかも知れません。