

Xperiaの小型モデルとしては二代目、キーボード搭載モデルの「Xperia mini pro」
日本では未発売のXperiaシリーズ、「Xperia mini pro」を入手しましたので紹介します。Xperiaシリーズは、「Xperia X10」以降はAndroidスマートフォンとして、様々なバリエーションのモデルを投入しています。X10が日本で「Xperia SO-01B」としてNTTドコモから発売されたのは、皆さんもよくご存じのことと思います。X10はその後、コンパクトモデルとして「Xperia X10 mini」と、キーボード搭載モデルである「Xperia X10 mini pro」を投入しました。
どちらのモデルも600MHzのCPU(Qualcomm MSM7227)に2.55インチQVGAのディスプレイを搭載した非常にコンパクトなモデルで、特にXperia X10 mini proはQWERTYキーボードを搭載していたため、人気がありました。今でも愛用している人はいることでしょう。そして、その後継機種が「Xperia mini」と、キーボード搭載モデルの「Xperia mini pro」となります。
X10 miniシリーズから何が変わった?
一番大きな違いは、画面サイズは2.55インチQVGA(320×240ピクセル)から、3インチHVGA(320×480ピクセル)に拡大したことです。解像度がQVGAの場合、アプリの画面表示に支障があったり、マーケットにそもそも表示されないなどの問題がありましたが、HVGAであれば少し前まで一般的な解像度でしたから、動作するアプリも必然的に多くなります。
また、CPUがMSM7227(600MHz)から、Xperia arc SO-01Cなどと同じSnapdragon MSM8255(1GHz)となり、処理能力はハイエンドモデルと同等になりました(RAM搭載量も同等です)。従来「コンパクトモデル=少しスペックが落ちる」というのが割と当たり前だったように感じますが、Xperia miniシリーズに関しては、処理能力はハイエンドモデル並でありながら、ボディをコンパクトにするという方法をとってきました。


CPU、メモリ、カメラはほぼハイエンドモデル並。カメラはもちろんHD動画撮影に対応
ちなみに、カメラもパワーアップ。Xperia arcなどと同じ裏面照射型のCMOSセンサー「Exmor R for mobile」を搭載。さすがに解像度はハイエンドモデルには一歩及ばず、5メガピクセル(=500万画素)となっていますが、凄いとしか言いようがありません。画像処理エンジンも、もちろん「モバイルブラビアエンジン」です。更に、インカメラ(0.3メガピクセル=30万画素)も搭載しているという贅沢ぶりです。
OSはX10 miniシリーズはAndroid 1.6→2.1でしたが、Xperia miniシリーズはAndroid 2.3.3を搭載しています。こちらもハイエンドモデルと同等です。またCPUがSnapdragonとなったことから、Flashコンテンツの再生にも対応します。
コンパクトながら質感が高い外観
Xperia mini proは前述の通り3インチの画面を搭載しながらも、そのサイズは92×53×18mmしかありません。以前、紹介した「LG Optimus GT540」も3インチのコンパクトモデルでしたが、キーボードを搭載する分Xperia mini proの方が厚いのですが、縦サイズはGT540よりコンパクトになっています。


LG GT540(左)と同じ画面サイズながら、Xperia mini pro(右)は更にコンパクト
スライド式QWERTYキーボードを搭載していますが、スライド機構にガタはなく、開閉動作はカチッとした非常に質感の高いものになっています。キーボード自体もカチカチとしたタッチ感で、見た目以上に文字が打ちやすく感じます。SDカード等を取り外す際の裏蓋は、開けるのが非常に堅いため、開閉に時間がかかってしまうのがやや残念です。逆に言えばここがカチッとしているおかげで、変なたわみ感もなく安心して使えるのかもしれません。


スライド機構にガタはなく、開閉はスムーズかつ質感が高い。キーボードも堅めのタッチ感で打ちやすい
箱は最近のエコの風潮に乗ってコンパクト。本体とバッテリーの他に同梱されているのは、ACアダプタ、microUSBケーブル、ステレオイヤホンマイク、液晶保護シート、マニュアル類でした。


箱はコンパクト。充電器なども非常にコンパクトになっている。ちなみにXperia acroと同型番(USBケーブルはコネクタの向きが違う)
ACアダプタは筆者が所有している「Xperia acro SO-02C」に同梱されていた「EP800」という充電器と同型でしたが、香港向けのためコンセント形状が異なり、変換プラグが購入したショップの計らいで入れてありました(対応電圧は問題なし)。入出力電圧はXperia acroのものと一緒なので、共用することが可能です。
安心の日本語対応
これまで海外でのみ販売されているスマートフォンを購入すると、端末のメニュー項目などが日本語になっていない、またはロケール(「言語とキーボード」→「地域/言語を選択」)の項目に日本語がないため、その対応が必要になるなどして苦労しました。日本語に対応するフォントさえ入っていれば、Androidマーケットから日本語IMEをダウンロードするだけで、何とか日本語を使って利用することは出来ましたが、いまいち不便さは拭えませんでした。
しかしXperia mini proでは、最初から日本語ロケールが入っているほか、メニューもすべて日本語表示になっています。また、日本語IMEも国内で販売されているXperiaに搭載されている「POBox Touch」が最初から入っているため、日本語での運用には何の心配もいりませんでした(ただしフォントがCJKフォントのため、一部の漢字が中国式の表記になっていますが、読むのに支障はないと思います)。


最初からメニュー表記は日本語、日本語IMEも「POBox Touch」が最初から入っている
ホーム画面は、四隅にショートカットアイコンを置けるスペースがあるというデザインは、X10 miniシリーズの共通基本デザインです。Xperia miniシリーズでは一つの角に最大4つまでショートカットアイコンを置けるように改良されています。


ホーム画面はX10 miniシリーズで採用されたものの改良版。四隅のショートカットがそれぞれ4つまで置けるようになった
ドロワー画面はXperia arcやacroで見慣れたものとなっています。


ドロワーはXperia arcなどとも共通
miniシリーズの特徴として、テーマ機能が搭載されており、あらかじめ登録されているテーマから、簡単に壁紙を設定することができます。


miniシリーズの特徴として、テーマを搭載
CPUがXperia arcなどと同等であるため、非常に快適に動作します。4インチ級のディスプレイを持ったモデルは確かに画面が広く使い勝手はいいのですが、いかんせん手に余るという人も少なくないのではないでしょうか。Xperia mini proは3インチとコンパクトなので、ちょうど手に収まるサイズ。片手で操作しても不便はありません。キーボードを搭載していることから厚みはありますが、この厚みがより握りやすさに貢献しているのではないでしょうか。
また、キーボードはタッチ感もよく、入力も正確に行えます。タッチパネルでの入力にストレスを感じる方は、キーボード入力をおすすめしたいところです。なお、全角と半角の切り替えは、Alt(緑の四角)+スペースキーで行えます。
想定していた以上の使い勝手のよさと品質、それでいて販売価格は300米ドルを切っています。Xperiaシリーズの層の厚さには驚かされます。
ワンセグやおサイフケータイがなくても魅力がある
ミドルレンジモデルと思い購入してみると、処理能力はハイエンドモデル並み、画面サイズとカメラの解像度以外はXperia arcやacroと遜色ありませんでした。これだけのスペックをこの小さなボディに詰め込んでいるのは素直に驚きです。日本では今後、3.3インチの「Xperia ray SO-03C」が投入されます(X10 miniシリーズより一回り大きかった、「Xperia X8」の後継に相当するモデルであると言えると思います)。こうした3インチ前後のコンパクトモデル層の展開が増えていくことを期待したいと思います。国内でもどこかのキャリアでXperia miniシリーズを取り扱ってはくれないものでしょうか。