

mSpot Music
最近は「 Google Music」、「iCloud」など音楽対応Cloudサービスが続々と登場していますが、クラウド音楽サービスはそれらがパイオニアではなく、より以前に存在していたサービスもあります。そのなかで代表的なものの1つと言えるのが、今回ご紹介する「mSpot Music」です。
本サービスと Android対応アプリ『mSpot Music』を使うことで、パソコンや端末に保存してある音楽データをクラウド上で管理できます。音楽データはネット上(クラウド)に保存してあるので、いちいちダウンロードして端末のストレージ容量に負担をかけるということがありません。容量を気にせず(上限はありますが後述します)、様々な音楽を聴けるのは快適です。サービスの概要から使用手順まで紹介します。ぜひチェックしてみてください。
「mSpot Music」って何だ?
「mSpot Music」では、音楽データの扱いの中心になるのはパソコンです。「Dropbox」などのオンラインストレージと同じように、常駐プログラムで自動的にクラウドに音楽データを転送してくれます。なお、WindowsパソコンでもMacでも使え、Windows環境ではiTunesだけでなく、WindowsMediaPlayer(以下、WMP)の音楽ライブラリを転送することもできます。
クラウドに保存された音楽ファイルは、「mSpot Music」のWebプレイヤーからも再生でき、アプリ『mSpot Music』を使ってスマホからも再生できます。iPhoneにもAndroidにも対応していますが、本レビューではWindowsとAndroidスマートフォンを対象に紹介していきます。
パソコン:プログラムのセットアップ
「mSpot Music」を使うには、まずユーザ登録と常駐プログラムのインストールが必要です。料金については後述しますが、ここでは無料でユーザ登録できます。「Dropbox」などと同じように、登録作業はプログラムのインストールウィザードのなかで行うことができます。ちなみにユーザ登録はアプリ『mSpot Music』からでも可能です。
以下のように作業しましょう。
- ホームページ「www.mspot.com」を表示して、「Start Now」をクリック
- セットアップページに移動し、ダウンロードが開始されます。セキュリティ設定などによってはダウンロードの許可を行う必要があります
- ダウンロードしたインストーラを起動するとプログラムがインストールされ、設定ウィザードが表示されるので、指示に従ってインストールしていきます。 最初のウィザードで、アカウントを持っているかどうかがきかれるので、「No」を選択すればアカウント作成画面が表示されます
- メールアドレスとパスワードを入力し、使用ライセンスに同意する「I accept」にチェックを入れて、「Next」をクリックするだけで新規アカウントが作成されます
- 次に転送するミュージックライブラリにチェックを入れて、「Next」をクリック。ライブラリはiTunesとWMPが選択でき、Addボタンで追加することもできます。なお、アプリ『mSpot Music』から端末内の曲を「mSpot Music」に転送することもできます
- インストール終了のダイアログが表示されるので「Done」で終了すると、タスクトレイにプログラムが常駐し、自動的にアップロードを開始して、ブラウザを起動します


mSpot Music:常駐プログラムインストール画面


mSpot Music:情報を入力して 「I accept」をチェックすれば、アカウントが作成される


mSpot Music: 転送したいミュージックライブラリをチェック
この後、指定したライブラリの音楽ファイルがクラウド上に保存されます。
ちなみに、セットアップ後、音楽ファイルをライブラリに追加すると、自動的にクラウドに転送されます。タスクトレイの「mSpot Music」のアイコンから表示できるメニューで「Preference」をクリックすると」設定ダイアログが表示されて、さまざまな設定が変更できます。


mSpot Music:設定画面
アプリ:『mSpot Music』の導入
基本操作
Android対応アプリ『mSpot Music』をインストール後、起動時にメールアドレスとパスワードを入力することでログインできます。ちなみに最初に起動した時は、自分の音楽とストリーミングラジオのどちらを聞くか選択できます。ここでは、1の自分の音楽(「Listen to your own music.」)をタップして選択します。


mSpot Music:ログイン画面(左)選択画面(右)。ストリーミングラジオも聴ける
プレイヤーの機能は、基本的には多くのミュージックプレイヤーと変わりません。上部のメニューから、「Songs」「Playlists」「Albums」「Artists」と曲の表示を変えることができ、曲をタップすることで再生できます。シャッフル再生、リピート再生もできます。ちなみにメニューからイコライザーを起動して、音の質を自分好みに変えることもできます。


mSpot Music:音楽再生画面。シャッフル再生、リピート再生も可能(左)イコライザ―で自分好みの音に変更もできる(右)


mSpot Music:ウィジェット設定画面
ちなみにウィジェット機能もあり、すぐに音楽を再生することができます。ちなみにウィジェットでは、プレイヤーで再生した最後の曲がデフォルトで選択されるようになっています。
歌詞表示機能
アルバム画像の右上に「L」の文字がある曲に関しては、「L」をタップすることで歌詞を表示することができます。ライセンスの関係だと思いますが、2011年12月の時点では一部の洋楽だけが対応しているようです。


mSpot Music:アルバム画像の右上の「L」をタップで歌詞を閲覧できる。現在一部洋楽のみ対応
再生品質について
絶対的な再生品質に関しては、ごく普通のプレイヤーという印象です。3G通信環境でも、ローカルファイルを再生する場合と変わらないクオリティで再生できます。普通に聴く分には全く問題ないでしょう。


mSpot Music: 「Settings」画面
さて、このプレイヤーを使いこなす上で重要なのはストリーミングとデータキャッシングの設定です。このプレイヤーはストリーミングでデータを転送して再生することと、ある程度のデータをローカルに保存するキャッシングで再生することができます。
ストリーミングで再生する場合、通信がつながらないとまったく音が再生できないし、電波状態が悪い場所だと再生中に音が途切れたりします。
これに対して、データキャッシングは直近の再生する曲をローカル保存して再生する設定です。つまり、再生した曲データ(あるいはアルバムの直近の曲データ)は保存されていき、設定した容量以上になれば古いものから自動的に削除されていきます。キャッシングなので、このアルバムはオフラインで聞くというような設定はできないわけです。
また、キャッシングのタイミングの関係か、キャッシングに設定していても音の再生が途切れることがありました。これは多発したわけではありませんが、今後のバージョンアップで改善されるのではないかと思います。なお、ストリーミングのメリットはAndroidのストレージを消費しないということです。
ちなみにこのデータストリーミング、キャッシングの設定は「Settings」の「Stream Only」で行えます。チェックを入れるとストリーミングに設定され、チェックをはずすとローカル保存されます。この場合、「StrageLimit」でキャッシングする容量を選択できます。なお、キャッシュされている曲は曲リストのなかで白い文字に、キャッシュされていない曲は灰色になります。


mSpot Music: StrageLimit 画面(左)キャッシュされている曲は白い文字で表示(右)
無料では5GBまで、有料なら40GBに増量
最後に利用料金の話です。このプレイヤーはデフォルトでは無料で使えるわけですが、この場合、保存容量は5GBで1モバイルデバイスでしか再生できません。これに対して、アップグレードコースを月$3.99で契約すると、5台のデバイスで再生でき、40GBのストレージ容量が使えます。大容量を保存したり、多くのデバイスで利用したい人はアップグレードするといいでしょう。
アップグレードするには、アメリカのクレジットカードもしくは、日本のクレジットカードで購入する場合、PayPalのアカウント(※)が必要となります。
※PayPalで購入の際、mSpot側の認証に数日かかる場合があります。


mSpot Music:アップグレード後、40GBのストレージ容量が使用可能
結論的に言うと、本アプリはかなり実用性の高いプレイヤーだと思います。日本国内で「Google Music」が使えない現在、Androidユーザとしてはうれしい存在です。