森川ジョージ『はじめの一歩』~一歩の「ひたむきな努力」が熱い!長寿ボクシングマンガ!~

2012年05月17日 16:00 by TOP BOOKS編集部

『はじめの一歩』第1巻表紙

『はじめの一歩』第1巻表紙

『はじめの一歩』は講談社「週刊少年マガジン」で1989年から2012年現在まで連載中のボクシング・マンガです。第15回講談社漫画賞少年部門受賞。「週刊少年マガジン」誌上最長連載作品であり、「スポーツマンガ」としても連載年数史上2番目の長寿作品(ちなみに最長スポーツマンガ作品は1973年に連載を開始した水島新司『あぶさん』)です。


2000年には日本テレビ系列でテレビアニメ化され、ゲームとしても幾度も様々なプラットフォームで発売されています。コミックの発行部数は2012年現在で9200万部を越えており、国民的スポーツマンガと呼んでも過言ではないでしょう


現在社会人として働いている方の中にも、小学生や中学生の頃には夢中で読んでいたと懐かしむ方も多いかもしれません!




ツッコミどころも含めて「少年マンガの王道」!

本作は、母子家庭で、家業の釣り船屋を手伝ういじめられっ子の高校生・幕之内一歩が、プロボクサー・鷹村守と出会い、彼と同じ「鴨川ジム」へ入門し一流プロボクサーとなる過程を描いた作品です。


「いじめられっ子」がボクシングに出会い、師であり鴨川ジム会長の鴨川や、同門の鷹村たちなど、周囲の人々に支えられながら、個性豊かなライバルたちと死闘を繰り広げる物語は、まさに「少年マンガの王道」といった内容です。


初期は、マンガ的な演出過多のシーン…例えば、ワンパンチで同階級の相手が空中で一回転して倒れたり、一瞬でありえない数のパンチを繰り出したりする「強さの誇張」や、一流のトレーナーやプロボクサーがいる中でだれ一人顎先への「かすりパンチ」を見抜けなかったりする、「現状の主人公の強さ」に合わせた周囲の人間の知覚レベルの設定など…が見受けられますが、そういう部分も含めての少年マンガ的面白さ!多少のツッコミを入れながらもどんどん読み進んでいて気付けば数十巻…なんてことになること請け合いです!


『はじめの一歩』第21巻表紙

『はじめの一歩』第21巻表紙

その面白さの秘訣はやはり丁寧な作りかたにあるのでしょう。自らがボクシングジムのオーナーとなり、セコンドにつくこともあるほどボクシングに精通している作者による理論的な技術演出。「登場人物全員が主人公」と言われるように、どのキャラの背景も詳細に描き、物語世界をとても大切に扱っているのがわかります。


また、通して読んでから、また初期の巻に戻るとわかるように作者の画力も主人公たちと共にどんどんレベルアップしているのです。幕之内一歩のようにひたむきな努力を作者自身も続けていることが、読者を飽きさせない作品作りの根底にあるのでしょう。




この登場人物はもしかして…

またこの作品、一歩の必殺技「デンプシー・ロール」が世界恐慌以前のヘビー級王者「ジャック・デンプシー」から名前がとられていたりと、実在の選手の技術を参考にしている部分多いことでも知られています。
登場人物の多くも実在の人物を参考やモデルにしています。どの選手のファイトスタイルは誰がモデルになっているのか…なんて考えながら読むのも面白いかもしれませんね。



元WBC世界フライ級王者の内藤大助選手も愛読している本物のボクシング・マンガ。初めての方も再読の方もぜひこの機会にいかがでしょうか?