

発熱やバッテリー消費を抑える使い方まとめ
ネット上でAndroidスマートフォンの評判を調べてみると、様々な端末の不具合情報と遭遇します。
その中でもいくつかの種類でなかなか刺激的な文言による報告が上がっており、その一つが富士通の「ARROWS X F-10D」(以下、F-10D)でしょう。
筆者は報告の内容を検証することを目的にF-10Dを入手し運用していますが、報告で特に多い過熱に関わる不具合やバッテリー消費について、ある程度の傾向といくつかの対処手段があることが少しずつわかってきました。
本記事ではF-10Dの発熱やバッテリー消費とうまく付き合う方法を考えながら、他の端末にも応用できそうな方法を紹介します。
発熱やバッテリー消費を抑える使い方まとめ
どんな時に発熱やバッテリー消耗が起こるのか?
まず、どんな状況で本体温度が上昇したり、バッテリーの消費が激しくなるのかを調べてみたところ、以下の状況で顕著な変化が見られました。
- LTEと3Gが頻繁に切り替わる場所にいる時
- 動画を再生している時(LTEで『YouTube』を視聴する場合はより顕著)
- ブラウジングやオンラインゲームなど、連続して通信を行う状態にある時
- 充電中に頻繁に通信やバックグラウンド処理が走ってしまう時
結論から言えば、他の機種でもこういった状況であればバッテリーを消費したり、本体が発熱したりすることは起きるので、あとは他機種と比較した時の問題なのだろうと筆者は感じています。
F-10Dが他の端末と違うのは、こうした時に本体温度が50℃を突破することがある点や、それに伴ってフェールセーフ(システムの安全を保つために端末に制御をかけること)の機能制限がかかってしまうことです。
このフェールセーフが作動した際、温度が下がるまでバッテリーの充電が行えなくなることもあるので、ユーザは不満を覚えるのでしょう(残念ながら一部のユーザではそれだけで済んでいない事例もあるようですが)。


本体温度が50℃を突破することも
バッテリーの監視に使用したアプリはこちら
傾向が見えたら、次は対策を考えます。
発熱やバッテリー消費を抑える8つの方法
発熱やバッテリー消費の対策として、これまでに「andronavi」でも紹介されてきた数々の“鉄板”の方法をまとめました。これらを地道にやっていくのが最初の一歩となります。


アプリをまめにタスクキルしよう
- タスク管理アプリでこまめにタスクキル
余計なプロセスを動かさないことで、CPUの処理やメモリの動作を抑えることから、バッテリー消耗や処理に伴う発熱が抑えられます。
アプリが自動的にタスクキルを行ってくれる機能はとても便利ですが、巡回感覚を短くしすぎるとそのバックグラウンド処理のためにバッテリーを消費するという本末転倒なことになるので、注意が必要です。


画面照度は低めに設定しよう
- 画面照度を抑える
画面の照度を明るくするだけでバッテリーを消費するため、自動調節にした上でできる限り暗くします。
ただ、暗くしすぎると目にもよくないので程々に。


スリープまでの時間を見直そう
- 画面消灯設定を見直す
上記に関連して、画面消灯(スリープ)の設定を見直すのも効果的です。
消灯時間をあまり長くするとバッテリーの無駄、短すぎるとすぐに消えてしまうため、うまくバランスを取った時間設定を行うといいでしょう。
また、メーカーによってはAndroid標準の画面消灯設定以外に拡張した設定が追加されているものがあります。
富士通製の端末では「持ってる間ON」などの拡張設定があり、これを有効にすることで使い勝手と省電力を両立させることができます。


国内ではLTE/3G設定が最適
- ネットワークモードで「GSM」を探させない
日本国内では「GSM」方式の通信は使いませんので、ネットワークモードを「LTE/3G」にすることで余計なサーチが減り、消費を抑えます。
ただし海外旅行の際はGSM方式も使うので、渡航前に切り替えましょう。


サウンド・バイブ設定はOFF
- 音や振動関係のバイブ設定をOFFにする
バイブ機能を有効にすることで、端末のモーターを動かすという余分な電力を使います。これをOFFにすることで消費を抑えます。
富士通製であれば「はっきりタッチ」を切るとバイブの作動が格段に減りますし、他社製でも類似の機能をOFFにすることで同様の効果が見られます。
- ホーム画面の設定に気を配る
常に処理が走ってしまうライブ壁紙は、バッテリー消費に繋がります。それらは使わない、またホーム画面に置くウィジェットは必要最小限にしてみましょう。地味ですが結構効きます。
- 標準搭載の省電力機能を積極的に活用する
富士通製であれば「NX!エコ」、他社製でもある同様の省電力設定を活用することで、発熱やバッテリー消費を抑えられます。
「NX!エコ」ではCPU周波数を抑える設定も可能なので、フルパワーで用いなければそれだけ発熱を抑えることができます(性能を制限するのでやや本末転倒気味ですが…)。


省電力設定を利用しよう(左)「NX!エコ」では、CPU周波数を抑える設定も可能(右)
- 使わない機能はOFFにする
上記の省電力設定とも絡みますが、GPSやBluetoothなど、常用しない機能を通常はOFFにすることでバッテリー消費を抑えます。


常用しない機能は基本的にOFFにする
歩数計や温湿度チェッカーなどのセンサーを用いる機能も、使わないのであれば機能をOFFにするといいでしょう。
また、各種サービスとの同期はONにしておくと便利ですが、必ず常時最新でないと困る機能以外はOFFにすることで、バックグラウンドの通信を抑えるので有効です。
筆者は同期を基本OFFにして、Gmailを読む時に手動同期、電話帳も書き換えた時にだけ同期するようにしています。
「こんなの当たり前で、別に目新しいことなんて何もない」と思った方、確かにその通りです。
こうした他の機種でも行っているごく当たり前の対策を行うというのは、F-10Dであっても基本は変わりません。毎日の地道な対策が大切なのです。
それでも結果が芳しくない場合は、普段なら見落としていることや手を付けていないことまでもやらなければいけません。
見落としそうなポイントをチェック
【使っていないホーム画面からウィジェットを削除】
省電力・対策を考える時、どうしても普段使っている項目を起点に考えるものですが、発想を転換して普段は使っていない機能にも目を向けてみます。
多くのAndroidスマートフォンでは複数のホームUIを搭載しています。F-10Dも「docomo Pallet UI」と「NX! comfort UI」を標準で搭載していますし、個人の好みで他のホームアプリをインストールしていることも多いのではないでしょうか。


使っていないホームアプリではウィジェットを削除しよう
普段なら常用するホームアプリの設定ばかりを見直しますが、ここでは普段使っていないUIを見てみましょう。
通常、標準搭載のアプリはすぐに使えるようにウィジェット類があらかじめいくつか配置された状態になっています。しかし普段使っていないUIに置いたウィジェットが裏で動き続けてしまうと、当然その処理のためにバッテリーを消費することになります。
そのため、使っていないホームアプリではウィジェットを削除して、空の状態にしてしまいます。
Google Playからダウンロードしてきたホームアプリで使っていないものがあれば、それは容赦なくアンインストールしてしまった方がいいでしょう。
日本語IMEもダウンロードしてみたものの使わないとわかっているものがあれば、それもアンインストールした方がいいです。
また、プリインストールされている機能のうち、使わないアプリはアンインストール。アンインストールできないものはAndroid 4.0以降であれば「無効化」するという手があります。
不用意に停めてしまうと動作に不具合が生じるものもありますが、そうでないものは停めてしまうことで余計なプロセスがメモリを消費することもなくなります。
停めると不具合が生じる可能性があるアプリについては、こちらもチェック
【メールや電話帳の設定を見直す】
この他、ドコモの電話帳アプリは非常に多機能で、SNSとの連携やメールのやり取りの履歴を確認できたりもしますが、spモードメールが届くと全件を同期しようとするため、かなり負荷になってしまいます。
そのため、表示項目設定でspモードメールやSMSのチェックを外す、SNSは登録しないことで抑止することができます。


メールの同期やSNSの登録はOFFに
さらに思い切るなら、軽量な電話帳アプリをインストールして、プリインストールの電話帳サービスは無効化してしまうのも一つの手。


サービスを無効化するという方法も
筆者のF-10Dでは編集機能などは富士通の「NX!電話帳」、通常の履歴や発信などは別の軽量な電話帳アプリを使い、ドコモの電話帳は原則として使っていない状態です。
この他、プリインストールされているアプリのうち使わない機能(iコンシェルやドコモバックアップなど)があるようであれば、これも無効化してしまい、バックグラウンドで動作したりメモリを占有してしまうのを防ぐのも効果的です。
プリインストールされている機能や自分でダウンロードしたアプリを使ってみて、バッテリーの消耗に繋がったり、使用中に発熱するといったアプリは実際に存在します(アプリ同士の相性や端末との相性など、理由は様々)。
代替できるものは積極的に他のアプリと替えることで、いい結果が出ることがあるので、試してみるのもいかがでしょうか。
様々なカテゴリで様々な選択肢があるのが、Androidの利点でもあります。
実際に運用した結果は…
筆者が使用しているF-10Dでは、これらの対策を講じたことで対策前に比べると格段に待機中のバッテリー消耗が減り、バックグラウンドの処理が減ったことにより平均的な本体温度も落ち着いています。


対策を行い、本体温度・稼働時間ともに改善が見られた
対策前、稼働時の温度は前述の激しく状態が悪くなる時でなくても最大で50℃超、稼働時間は使用頻度がそれほど高くない時でも1日もたない(朝満充電にして、昼過ぎには40%を割る状況)という状態でした。
対策を行ったことでこの状態が改善し、温度はおよそ40℃前後、稼働時間は使用頻度がそれほど高くない時は、最大で丸2日近くもつようになりました(あくまで最大効果が出た状態であり、使用頻度が高くなるとこれより少し落ちます)。
裏で走る処理や通信量が減ることで発熱も落ち着きましたが、どうしてもヘビーな利用をする際の発熱とバッテリー消費を完全に抑えることは難しいです。
最後に、下記のような運用面での工夫を行うことも効果的です。
- ストリーミング動画を見る際はLTEではなくWi-Fiが使える場所で見る
- 電波状態が不安定な場所ではなく、安定した場所で使う
- 無駄な操作や通信は削減する
環境設定、運用面の工夫、様々な方面からアプローチして、状況の改善を目指しましょう。
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