

「格安SIM」で使えるスマホ・タブレットとその注意点
昨今、よく話題に上る「格安SIM」。大手の移動体通信事業者(キャリア)のネットワークを借り受けたMVNO(仮想移動体通信事業者)が様々な工夫をこらすことで大手キャリアよりも安価な携帯電話サービスを提供してくれます。
携帯電話料金を抑えるために格安SIMの導入を検討している、という方も少なくないでしょう。
しかし、格安SIMの導入にあたって盲点になりやすいのが、それと組み合わせて使うケータイ・スマホ・タブレットやルーター(以下:全てまとめて「端末」)です。使う端末によっては全然ネットワークにつながらなかったり、一部のエリアで使えなかったりとトラブルが発生する可能性もあります。
そこで、今回の特集では、格安SIMを使う上で重要な端末の選び方と、注意点を確認していきます。ちょっと難しい部分もありますが、よく読んで参考にしてください。
格安SIMが使えるスマホを選ぶ際の注意点
格安SIMの所属する大手キャリアの端末を使う方法
現在、ほとんどの格安SIMを提供するMVNOはNTTドコモからネットワークを借りてサービスを提供しています。
最近では「mineo」や「UQ Mobile」のようにau(KDDIと沖縄セルラー電話)からネットワークを借り受けるサービスも登場し始めました。
ドコモやau(以下:まとめて「大手キャリア」)ではMVNOに対し、自社と直接契約したユーザと同じSIMカードを貸し出しています。よって、私たちが購入する格安SIMカードは物理的に直接大手キャリアと契約して貸し出されるものと変わりありません。
よって、その格安SIMの所属する大手キャリアが販売する端末を原則としてそのまま利用可能です。この場合、SIMロックの有無も関係ありません。


インターネットイニシアティブの「IIJmio」回線のmicroSIMカード。見た目は「ドコモ miniUIMカード」そのもので判別不可能
手持ちの端末がSIMカードと同じキャリアであれば、それを引き続き使えますし、SIMカードのキャリアを確認の上、中古端末(白ロム)を買って使うこともできます。キャリア端末はそのキャリアの無線ネットワーク環境で十分にテストされているので、電波の“つかみ”では一番盤石です(※)。
※ただし、登場時期によっては対応周波数帯(後述)の都合で一部エリアでの通信に対応していない場合があります。


ドコモ所属の格安SIMカードはドコモの端末に入れて使える(ごく一部例外あり)
大手キャリア端末を使う場合、格安SIMカードを入れただけではデータ通信を行えません。データ通信を開始するにはAPN(接続するアクセスポイント)を別途設定する必要があります。
APN情報は購入した格安SIMカードの台紙かそれに同封される設定ガイドに記載されているのが一般的です。それを使う端末に入力します。Androidスマホ・タブレットの場合、端末設定から入力画面に行きますが、メーカー・機種によって設定項目のある場所がまちまちです。
そこで、MVNOによっては主要なキャリア端末の設定方法をサポートサイトに掲載していることもあります。自分の使っているメーカー・機種のものがあれば参考にするとカンタンです。
ただし、注意点もいくつかあります。まず、大手キャリアオリジナルのアプリ・サービスの利用は原則として制限がかかります。
また、端末やキャリアアプリのアップデートができない場合もあります。更に、端末や使うMVNOの組み合わせによってはネットワークに接続するまでに時間がかかるなど“相性”問題が発生するケースもあります(これは後述のSIMロックフリー端末でも起こりうる)。端末のソフトウェア更新で問題が解消することもありますので、事前に最新のソフトウェアを何らかの方法で適用しておきましょう。


サムスン電子製の「GALAXY S III SC-06D」をIIJmioのSIMカードで使おうとすると、ソフトウェアバージョンによってはLTE通信ができないことがある(IIJmioのサポートページより)
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市販のSIMロックフリー端末を使う場合
昨今、大手家電量販店で「SIMロックフリー」をうたう端末が販売されることが増えました。特にSIMロックフリーのAndroidスマホ・タブレットは“よりどりみどり”といえるほどのラインナップです。
Google Playでも「Nexus 5」、「Nexus 6」や「Nexus 7」のSIMロックフリーモデルが販売されています(「Nexus 9」のそれは近日発売予定)。更に格安SIMカードを販売するMVNOがSIMロックフリー端末の販売も手がけることも少なくありません。
SIMロックフリー端末はその名の通りSIMカードのキャリアに関わらず利用できます。大手キャリア端末よりもスペックを抑えることで概ね安価で購入できることが一番魅力です(「Nexus 6」のようにキャリア端末と同等か、それより高めなものもあります)。
維持費が安価な格安SIMカードと割安なSIMロックフリー端末を組み合わせて使うことで経済的な負担を大きく抑えられます。また、SIMロックフリーなAndroidスマホ・タブレットの多くは主要なMVNOのAPN情報がプリセットされているので、購入した格安SIMカードによっては初期設定が少し楽になります。


Google PlayでもSIMロックフリースマホ・タブレットを販売している(画像はNexus 5)
SIMロックフリー端末にも注意点があります。その中でも特に意識しないといけないのが「対応通信規格」と「対応周波数帯」です。
大手キャリアは各々異なる通信規格・周波数帯でサービスを展開しているため、MVNOが所属する大手キャリアの規格・周波数帯に対応する端末を用意しないとそもそも通信できません。
この点で特に注意しないといけないのがau所属のMVNOです。LTEは他社と同じ規格(FD-LTE)を使っているものの、3Gで異なる規格(CDMA2000)を採用しているため、通信できないケースが多いです。そのため、MVNOが正式に動作確認した端末を使うのが無難です。
ドコモ所属のMVNOでも、通信周波数帯の対応状況によっては使えないエリアが出てくることもあります(特に800MHz帯のみで構成されたエリア)ので注意が必要です。
<W-CDMA(3G)>
W-CDMA(UMTS) | ドコモ | ソフトバンク | Y!Mobile |
Band 1(2.1GHz) | ◎ | ◎ | ※ |
Band 6(800MHz) | ○ | – | – |
Band 8(900MHz) | – | ○(プラチナバンド) | ※ |
Band 9(1.7GHz) | – | – | ◎ |
Band 11(1.5GHz) | – | ○(ULTRA SPEED) | ※ |
Band 19(800MHz) | ○(FOMAプラスエリア) | – | – |
※ソフトバンク網を利用できる契約のみ対応
<LTE>
LTE(FD-LTE) | ドコモ | au | ソフトバンク | Y!Mobile |
Band 1(2.1GHz) | ◎ | ○ | ◎ | ※ |
Band 3(1.8GHz) | ○(関東甲信・東海・関西のみ) | – | ※ | ◎ |
Band 8(900MHz) | – | – | ○(プラチナLTE) | ※ |
Band 11(1.5GHz) | – | ○ | – | – |
Band 18(800MHz) | – | ◎ | – | – |
Band 19(800MHz) | ○ | – | – | – |
Band 21(1.5GHz) | ○ | – | – | – |
Band 26(850MHz) | – | ○ | – | – |
Band 28(700MHz帯) | ○(2015年1月からエリア整備開始) | ○(2015年1月からエリア整備開始) | ※ | ○(2015年12月からエリア整備開始) |
※SoftBank 4G LTE契約とソフトバンク網を利用できるY!Mobile契約で相互利用可能
※Band 26はBand 18・19エリアでも通信できる
上記はW-CDMA(UMTS)とLTE(FD-LTE)の対応バンド(周波数帯)を一覧にしたものです。◎がメイン、○はサブの周波数帯となります。できるだけ◎と○の両方を多くカバーする端末を選んでください。


SIMロックフリー端末では対応バンドを製品仕様で明示していることが多いので、しっかりチェックするようにしよう(画像は「LG G2 mini LG-D620J」の場合)
また、キャリア端末とMVNO回線との組み合わせと同様に規格とバンドが一致してもネットワークとの“相性”問題が発生することもあります。とりわけ、SIMロックフリー端末ではキャリア公式の接続性テストを基本的に経ていないため、この問題が発生しやすくなります。
各MVNO(あるいはメーカー)が検証済みのSIMロックフリー端末を使うとこの手のトラブルが軽減されます。なお、先述のキャリア端末の場合と同様、ソフトウェア更新で問題が解決する場合もあります。
ということで、以前の記事でも触れましたが、格安SIMでは、今まで“考える”必要の無かった設定や端末の仕様にも配慮する必要が出てきます。なので、私たちユーザーも使うからには一定の知識が必要となります。
それでも、格安な維持費でスマホやタブレット、あるいはモバイルルーターを持てるということは魅力的です。色々情報を仕入れて、より楽しい“格安ライフ”を過ごしましょう!
話題の端末やモバイルWi-Fiサービス
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