

大手キャリアのAndroid端末を「格安SIM」で運用するときの注意点
先日、拙著「百花繚乱『格安SIM』で使えるスマホ・タブレットとその注意点をチェックしておこう!」を始めとしてandronaviでも取り上げる機会が増えてきた「格安SIM」。通話を一切しないか、しても着信ばかりだったり発信が月に数分程度であればコスト節減効果は計り知れません。
上記の拙著では格安SIMをSIM供給元の大手キャリアの端末で使う方法をご紹介しました。今まで使っていた端末をそのまま使える場合、初期投資をさらに抑えられておトク…なのですが、実は見落としがちな大きな問題点が3つあります。
今回の特集では、大手キャリア端末を格安SIMを含めたMVNO端末で使う上で見逃してはいけない3つの問題点と、その解決方法を確認していきます。
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格安SIMで端末を使う場合の注意点
問題その1:「ソフトウェア更新」ができない!?
端末には様々なソフトウェアが搭載されています。ソフトウェアの設計ミスや設計・開発段階では想定していなかったことが原因で、端末の動作に“不具合”が発生することがあります。
それを解消するために行われるのが「ソフトウェア更新」です。Androidスマートフォン・タブレットでは端末設定の「端末情報」からソフトウェア更新を行うのが一般的で、中には自動的に更新データをダウンロードしてくれる機種もあります。
ところが、格安SIMカードを含むMVNO(仮想移動体通信事業者)のSIMカードを使っていると更新データの確認・ダウンロードに失敗してしまう場合があります。これは、ソフトウェア更新の確認・ダウンロードをする際にモバイル回線を自動的に更新専用の接続先(APN)に切り替えてしまうことが原因であることがほとんどです。
要するに、MVNOのSIMカードでは更新用APNに接続できず、結果としてアップデートできないのです。
こうなった場合に、取れる解決方法は3つあります。ハードルが低い順にご紹介します。
<解決策1>Wi-Fi(無線LAN)を使って更新する
多くの端末ではソフトウェア更新をWi-Fi(無線LAN)経由でもできるようにしてあります。MVNOのSIMカードを利用している時でも、Wi-Fiでインターネットに接続していれば更新の確認・ダウンロードが可能です。自宅や外出先の公衆Wi-Fiサービスのインターネットを使って更新しましょう。


Wi-Fiがオフの状態では更新の有無すら確認できない(左)オンにしてインターネットに接続すると確認ができる(右)
<解決策2>パソコンを使って更新する(一部端末のみ)
一部のメーカーでは自社製端末用のパソコンソフトを用意しています。このソフトを使って端末のソフトウェア更新ができる場合があります。もちろん、更新の確認・ダウンロードにはインターネット接続が必要です。
また、パソコン側にUSBドライバーを入れておく必要がありますが、通常はパソコンソフトと一緒にインストールされるのでそこまで気にする必要はありません。
- ソニーモバイルコミュニケーションズ「PC Companion」
- サムスン電子「Samsung Kies」


ソニーモバイルコミュニケーションズの「PC Companion」ではXperiaシリーズのソフトウェア更新ができる(画像は英語版だが実際は日本語版もある)
<解決策3> キャリアショップに端末を持ち込んで更新する
もしも上記2つの方法が取れない場合は、発売元であるキャリアのサポート窓口であるキャリアショップ(またはキャリアの故障修理拠点)に持ち込むことで更新してもらうこともできます。
通常はその場で更新を完了することができますが、端末によっては故障修理と同じく端末を預けて更新を依頼することになる場合もあります。
ここで気になるのが、大手キャリアとの契約が全くない状態でも持ち込んでもいいのか、ということです。これは後述のサポート面での問題で解説します。


キャリアショップに持ち込むことで端末ソフトウェアを最新にできる(写真のショップはイメージです)
問題その2:キャリア製アプリのインストール・更新ができない
以前の特集でも触れていますが、MVNOのSIMカードでは大手キャリアのサービスが原則として利用できません。それと同様に、キャリアアプリのインストール・更新にも制約がかかります。
「キャリアアプリは一切使わない!」という方もいるでしょうが、実はキャリアアプリが端末の動作に深く関わっていることもあります。そうなると、アップデートできないと不具合や脆弱性を“放置”することになってしまいます。
Google Playから配信されている場合はMVNOのSIMカードでも引き続きインストール・ダウンロードできます。更新がある場合は、ほかのアプリと同様にGoogle Playアプリで通知がきますし、インストールもできます。


ドコモの「ICタグ・バーコードリーダー」はGoogle Playで配信されているので、MVNOのSIMカードを利用していても引き続き更新できる
問題は、キャリア独自のアプリ(ドコモなら『docomo Application Manager』、auなら『au Market』)で更新管理をしている場合です。これらのアプリは自社のネットワークサービスに接続できないとアプリのインストール・更新ができない場合があります。MVNOのSIMカードも例外ではありません。
独自アプリでのキャリアアプリ更新ができない場合の回避策は2つあります。
<解決策1>キャリアショップに端末を持ち込んで更新する
端末のソフトウェア更新と同様にキャリアショップ(故障修理拠点)に持ち込んで更新してもらうことができます。サポート面での注意点は後述します。
<解決策2> docomo IDを取得する(NTTドコモの一部機種限定)
ドコモが発売した端末で、「docomo ID認証」に対応した機種ではdocomo IDを取得し、端末で認証を行えば利用している回線に関係なくキャリアアプリの更新が可能になります。
つまり、SIMカードが抜いてあっても、MVNO回線でネット接続していても更新OKなのです。ドコモの場合、標準のホームアプリである「docomo LIVE UX」の更新が『docomo Application Manager』経由で行われるので、回線を問わずに更新できることはより安心して使う上でポイントになるでしょう。


docomo ID認証に対応している機種では一度認証すれば回線を問わずキャリアアプリの更新ができる(画像は「Xperia Z2 Tablet SO-05F」のもの)
問題その3:サポートが“変わる”
大手キャリアの端末は、中古携帯電話ショップで購入したり、他の人から譲り受けたりした場合も含めてキャリアショップ(故障修理拠点)でサポートを受けることができます。これはMVNOを含めた他社の回線と組み合わせて利用している場合も同様です。
もしも使っている回線が同じキャリアのものであれば、端末だけでなく回線(接続)に関する問題であってもまとめてサポートしてもらえますが、回線が他社のものである場合は、回線に関するサポートは受けられません。
例えば「端末がネットにつながらない!」としてドコモショップにドコモが発売した端末を持ち込んだとしましょう。もしも利用している回線がドコモと契約したものであればショップで端末・回線両面でサポートを受けられますが、MVNOと契約したものであれば端末面でのサポートはしてもらえるものの、回線面でのサポートはしてもらえません。
ほとんどのMVNOが所属するドコモでは、わざわざ特設ページで注意喚起しているほどです。
MVNOで大手キャリア端末を使う場合、キャリアショップでサポートを受けられるのは端末に関するもののみ、ということは強く肝に銘じましょう。


キャリアと契約した回線なら端末とまとめてサポートが受けられるが、MVNOと契約した回線では端末と回線のサポートが“分離”されるので、考え方次第では余計に“面倒”になる
ということで、キャリア端末をMVNOで使うと初期投資は抑えられるものの、注意すべき点も増えることをまず知りましょう。その上で、問題点を回避・緩和するためにはどうすればいいのか知っておけば快適な格安スマホライフを謳歌できます。何事も、しっかり調べ、知ることが大切です。この特集がその一助になれば幸いです。
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