銀行系送金アプリ『Money Tap』に見る、個人間送金サービスの可能性

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銀行系送金アプリ『Money Tap』に見る、個人間送金サービスの可能性

 

AさんがBさんにお金を渡す。この「個人間送金サービス」をキャッシュレスで実現するには「資金決済法」というフィージビリティ上の課題があることをご存知でしょうか。フィンテック業界に注目が集まる中、人員削減・店舗縮小といった経営の合理化を進めている金融機関・銀行に期待される「個人間送金サービス」における役割とは。

 

本記事では、先日リリースされた『Money Tap』のレビューと合わせて紹介していきたいと思います。

 

個人間送金サービスの規制事情

 

個人間送金サービス各種

個人間送金サービス各種

 

 

冒頭にて、資金決済法というハードルについて紹介しましたが、各サービスの対応はどのようになっているのでしょうか。例えば『Yahoo!ウォレット』や『LINE PAY』では、「資金移動業者」として登録することで正面から金融庁を突破しています。

 

しかし、この法を守って真面目にサービスを実装するには、送金する人も受け取る人も「本人確認手続き」を踏まなきゃいけないという初期登録時の障壁があり、普及に向けての大きな足かせとなっている、というのが現実です。

 

その他、レシートの写真を必須とする『paymo』、もらっても日本円には換金できない『Kyash』、これらも「収納代行」や「前払式支払手段」などの規制の中で実現できる範囲で実装するにとどまっており、最高のユーザー体験にしたくてもできない、といった国内事情があります。

 

 

MoneyTapに見る「銀行系」送金アプリのユーザー体験とは

 

もとを辿れば、銀行法による独占業務を規制緩和したり住み分けしたりする必要性から生まれた資金決済法ではありますが、銀行こそ主体的に個人間送金サービスに力をいれて取り組むべき立場にあるのは変わりません。利用者側から見れば自分が普段から使っている銀行の口座から手数料無料(または無料に近い手数料)で「Bさん」に送金できるのが最高のユーザー体験となるはずですし。

 

そんな中、先日リリースされて注目を浴びている『Money Tap』ですが、

 

  • 送金手数料が無料
  • QRコードや電話番号で相手に送金できる
  • RippleベースのRCクラウド2.0を使っている

 

などの注目すべき点はあるものの、なんといっても一番のインパクトはこれが「銀行系」の送金アプリであり、「その銀行に口座を持っている人は、すぐ使える」というユーザー体験にあると思います。

 

 

『Money Tap』の登録フローを見てみよう

 

『Money Tap』に関しては、現時点で使える銀行は住信SBIネット銀行・りそな銀行・スルガ銀行の3行のみですが、これらの銀行を使っている人にとっては、なかなか簡易な初期登録フローとなっています。

 

 

『Money Tap』初期登録フロー(1)

『Money Tap』初期登録フロー(1)

 

『Money Tap』初期登録フロー(2)

『Money Tap』初期登録フロー(2)

 

 

登録までのフローに入力が必要な項目

 

  • アカウント名、携帯電話番号
  • Eメール、氏名、生年月日
  • SMS、Eメール両方から送られてきた認証コード
  • 登録する銀行の支店名と口座番号
  • 住信SBIの場合は、『スマート認証』のインストール(すでに設定済みの場合は不要)

 

 

新しく作ったアカウントのパスワードを管理する必要もないし、本人確認のために免許証の写真や自分のセルフィーをアップしたり、登録した自宅の住所に送られるハガキを受け取るまで待つのも不要、あらかじめ一定額をチャージしなくてOK、レシートも不要だし、もちろん日本円に換金できます。

利用者側から見れば良いこと尽くめな訳ですが、フィンテック系ベンチャー側から見れば「ずるい〜」と言いたくなるような仕様でしょう。

 

 

 『Money Tap』のユーザーインターフェース

『Money Tap』のユーザーインターフェース

 

 

ただ、現在では住信SBIネット銀行・りそな銀行・スルガ銀行「以外」には振り込みをすることができず、まだまだ実用的ではありません。

このプロジェクトを推進するコンソーシアムに参加している邦銀61行のうち、どれくらいの銀行が対応してくるかはわかりませんが、期待は込めておいても良いでしょう。

 

 

RCクラウド2.0について

 

技術的な背景にも少し触れておきたいのですが、この『Money Tap』は「RCクラウド2.0」というプラットフォームに接続することによって、異なる銀行間の送金機能を実現しています。

 

ホワイトペーパーが見当たらなかったので、技術的にはどのようにブロックチェーンやRippleベースのxCurrentなどを活用しているのかはわかりませんが、使っているxCurrentのプロトコル(ILP)を拝見する限り、Ripple(リップル)の仮想通貨「XRP」はFXティッカーと呼ばれる取引者間の為替レートを決めるときに登場するようです。

 

現時点において『Money Tap』は国内の銀行間送金にとどまっているため、「RCクラウド2.0」の実装にてxCurrentがFXティッカーを通しているのか、実は微妙です。これは個人的な予想ですが、仮想通貨「XRP」は使用していない可能性があります。『Money Tap』がXRPの需要拡大に貢献している部分は少ないでしょう。

 

また、ブロックチェーン=セキュリティが高い、というイメージも強いですが、ブロックチェーンを活用しているのはシステムのごく一部であり、全体的にはSBI Ripple Asia株式会社やコンソーシアムの61社で決めた「セキュリティや耐障害性等を強化した商用版」であることも注意が必要です。

 

 

まとめ

 

単なる送金アプリならぬ、「銀行系」送金アプリ『Money Tap』は、来たるキャッシュレス時代に多大な影響を与える可能性を秘めているだけの存在であるわけで、ブロックチェーンがもたらすお金の未来について、各銀行が半信半疑ながらも危機感をあらたにコンソーシアムを組んでくれた背景に感謝しましょう。

 

そして、個人的には「アプリすらない」ような地方の信用金庫までも対応してくれるような展開に、期待しています。

 

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