加熱するフェイクニュースに歯止めをかけることはできるのか

各国政府がフェイクニュース対策に本腰を入れ始めています。政治やマーケティングに影響力があるインターネット上の情報は今後どのように規制されていくのでしょうか。

社会を混乱に陥れるフェイクニュース

フェイクニュースは文字通り「嘘のニュース」です。単なるいたずら目的のものから世論を操作する目的のものまで、様々なフェイクニュースが存在します。現在各国政府が最も問題視しているのは、選挙を左右するようなフェイクニュースです。

実際に2016年の米大統領選でFacebookやTwitterを中心に候補者を貶めるような内容のフェイクニュースが拡散されました。また2017年のフランス大統領選、2019年の欧州議会選挙でもロシア発信のフェイクニュースが拡散され、選挙結果に影響を及ぼしたということです。

日本でも2018年の沖縄知事選で組織的なフェイクニュース拡散があった他、SNSなどで日常的に真偽不明の政治的な投稿が溢れかえっています。素人目には投稿が個人的な意見なのか事実なのかを完璧に見分けることは難しく、特に災害時にフェイクニュースが投稿されると致命的です。

実際に大正時代の関東大震災の際には「朝鮮人が混乱に乗じて暴動を起こす、井戸に毒を投げ込む」などのデマが拡散し、多くの朝鮮人と中国人が自警団によって殺害されました。当時はデマという言い方でしたが、今のフェイクニュースと性質は同じです。

フェイクニュースは本来あるべき過程や結果を故意に捻じ曲げる性質のものであり、厳しく取り締まらなければならないものです。SNSなどインターネット上の情報プラットフォームの情報の信頼性が下がると、そのプラットフォームを利用する価値が低下するため長期的には荒廃していく危険性もあるのです。

各SNSの対策

このような状況に対して日本では法規制を進める法案の成立を目指していましたが、2019年1月に法制化は見送られました。憲法の「表現の自由」に抵触するのが理由です。

世界を見ると基本的にSNSでのフェイクニュースの拡散を潰していく方針で動いています。Facebookが公式アカウントでニュース配信する記事は、信頼できる200の報道機関のものに絞るということです。また、政治的な広告を掲載する際の審査を厳格化します。twitterは政治的な広告は2019年12月より掲載不可となります。

こうした規制に加えてフェイクニュースを拡散するアカウントの取り締まりも重要です。残念ながら購入された「いいね」やアカウントの削除は、それほど進んでいるといえません。

通告されたフェイクアカウント400件に対してSNSが実際に削除をした割合は、4.5%に過ぎなかったという実験結果も出ています。政治的な目的なものは全体で見ると少数のようですが、現在の香港の混乱で中国共産党がフェイクアカウントを使って香港の世論操作をしようとする例もあります。

情報発信が規制される時代に入る前触れ

フェイクニュースが拡散して情報の信頼性が損なわれることで、結果として規制が強くなり一般の人の表現の自由にも影響が出てしまいます。自由に個人がインターネット上で発言できる時代は、終わりが近づいているのかもしれません。

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