

日本銀行や大手企業が参加する検討会が発足し、政府がデジタル円の導入を本格的に検討し始めました。電子マネーやクレジットカードと何が違うのか、デジタル人民元の近況について紹介します。
電子マネーとどう違うの?


円は日本国の法定通貨です。紙幣や硬貨という目に見えるアナログな形で存在しています。
最近一般的になったPayPayなどのバーコード決済、SUICAなどの交通系電子マネー、クレジットカードなどは、日本円をチャージしたり後ほど請求が来るシステムです。実際に決済に使われているのは日本円そのものではありません。日本円がいくら入っているよというデータをやりとりしているのです。
デジタル円が導入されれば、デジタル決済がもっと直接的なものになります。ネット上での送金や決済が、現金をやり取りするのと全く同じ効力を持つようになるのです。
暗号通貨は国家にとって脅威


こういったデジタル通貨は、ブロックチェーンというテクノロジーで作られます。暗号通貨のベースになっているテクノロジーです。
ビットコインなどの暗号通貨はこのブロックチェーン の仕組みを使い、銀行を介さずに世界中の人々が直接送金・着金を行うことを可能にしました。これをPeer to Peerの取引といいます。間になんの機関も挟まない個人対個人の取引です。
これは国家にとっては脅威的なテクノロジーです。これまで銀行を通すことで監視していたお金の流れがわからなくなり、税収にも影響が出ます。為替相場もコントロールしづらくなるでしょう。また、マネーロンダリングなど犯罪の温床になるという指摘があります。さらにハッキング等で狙われやすいのもリスクであり、実際北朝鮮のハッキング集団が世界の暗号通貨取引所の資金流出事件の8割に関わっているといいます。
国がデジタル法定通貨を作れば完全な管理体制を作れる


こういったリスクや、最近ではFacebookが中心になって進めているリブラプロジェクトが成功しては困るという思惑から、各国政府はデジタル法定通貨を民間に先んじてリリースすることを本格的に計画を始めました。
その旗手が中国のデジタル人民元です。中国は共産党の一党独裁ですが、ITやブロックチェーンのテクノロジーを活用して人民の管理に成功しています。デジタル人民元が普及すればもはや政府の監視から逃れられる取引は存在しなくなります。
噂レベルでは2020年中にはリリースされるらしいという声が聞こえています。初の法定デジタル通貨となれば世界中の人々がデジタル人民元を使ったオンライン決済を活用し始めるかもしれません。中国の経済戦略においては今後の大きなポイントになるのは確かです。